AI検索のニュース記事利用、公取委が調査へ 無断利用の問題化で
生成人工知能(AI)を使った検索サービスについて、公正取引委員会が実態調査を始める方針を固めた。AIによる記事の無断利用が問題化する中、これらが独占禁止法が禁じる優越的地位の乱用に当たるか調べる模様だ。
生成AIを巡っては、インターネット上の最新情報を集めて利用者の質問に回答する仕組みが拡大している。一方で報道機関のウェブ記事を無断で収集し、同内容の要約文を回答しながら広告収入などで収益を得るビジネスモデルも生まれている。
元記事に利用者がアクセスしなくなれば、報道機関は購読者や広告収入獲得の機会を失う。公取委は、これらが取引上優位な事業者が取引先に不当に不利益を与える「優越的地位の乱用」に当たる可能性もあるとみて、詳しく調べる方針だ。
関係者によると、調査対象として米国のグーグルやマイクロソフト、チャットGPTを運営するオープンAIのほか、日本のLINEヤフーなどが想定されている。米国の生成AI事業者「Perplexity(パープレキシティ)」も対象となる見込みだ。
パープレキシティを巡っては、運営する生成AI検索サービスで無断取得した記事を基に利用者への回答を生成、著作権を侵害しているとして毎日新聞社が今月、抗議書を送付した。共同通信、産経新聞も同様の抗議書を送付したほか、読売、朝日、日経の新聞3社が損害賠償などを求める訴訟を東京地裁に起こしている。引用元を表示しながら本来の記事と異なる内容を表示する例もあるとして問題視されている。
公取委は2023年9月、巨大IT企業が手掛けるニュースのポータルサイトについての実態調査報告書を公表した。記事を配信している報道機関へ支払われる許諾料を著しく低く設定することは優越的地位の乱用に当たると警告していた。今回の実態調査は同報告のフォローアップに加え、新たな問題についても範囲を拡大する形となる。【渡辺暢】
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