水俣病「子世代」認定訴訟、控訴審が福岡高裁で結審、判決は来年4月
胎児・小児期にメチル水銀の被害を受けたのに、公害健康被害補償法に基づく水俣病の患者認定申請を棄却処分にされたなどとして、熊本、鹿児島両県に住む60~70代の男女7人が両県に処分取り消しや患者認定を求めた訴訟は23日、福岡高裁(高瀬順久裁判長)で結審した。判決は2026年4月23日。
7人は未認定患者でつくる「水俣病被害者互助会」の会員ら。水俣病公式確認(1956年)前後に生まれ、重症患者が相次いだ発生初期の「子世代」に当たる。手足のしびれといった感覚障害を訴えて02~05年に患者認定を両県に申請したが、15~16年に棄却された。
22年3月の1審・熊本地裁判決は、一部の原告を除いて高濃度の水銀摂取自体を否定。その上で、水俣病の潜伏期間は「(水銀摂取を停止してから)数カ月から数年」と指摘した。原告らは水銀汚染魚の摂取停止から症状が出るまで長期間(20~30年)が経過していたことなどから患者とは認めず、請求を棄却した。
控訴した7人は23日の口頭弁論で意見陳述。親戚に認定患者がいる緒方博文さん(68)=熊本県水俣市=は「私たちが、水俣病の症状を背負わされて生まれてきたことに自ら気付くには、長い年数がかかった」と訴えた。【森永亨】
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