竜巻から1カ月 静岡・牧之原市「被害の認定基準明確化を」

2025/10/03 21:54 

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 静岡県牧之原市の杉本基久雄市長は3日、台風15号に伴う竜巻被害から5日で1カ月となるのを前に記者会見した。住家被害ではこれまで1278件の罹災(りさい)証明書交付申請があり、1日までに約8割の被害認定調査を完了した。今回のように豪雨を伴う竜巻被害を想定した認定基準はないため、杉本市長は「経験を踏まえて、国などに基準の見直しを求めたい」としている。

 1日までに984棟の調査が完了し、認定の内訳は全壊55棟、大規模半壊34棟、中規模半壊55棟、半壊101棟、準半壊195棟などとなっている。調査は9月11日に開始。県内外の43市町から計334人の応援も得て進め、今月11日までには調査をほぼ終える見通しが立ったという。

 市によると調査は内閣府の「被害認定基準運用指針」に基づいて行われた。水害の場合は外観と床上浸水の深さで判定でき、床上1・8メートルの浸水の場合、全壊または大規模半壊と判定される。一方、竜巻などの風害では屋根の脱落や破損だけでは全半壊の判定はできないため、今回のように豪雨による上からの浸水被害が明確でも、内部の壁など損傷具合を調べる必要がある。当初は1班あたり1日3件ほどしか調査できなかったという。

 調査に基づいて交付される罹災証明書は被災者が公的支援を受けるのに必須で、杉本市長は「被災者が1日でも早く生活再建に着手できるよう、台風による竜巻を想定した認定基準を明確化してほしい。今回のようなケースでは、屋根がなくなったら全壊と認定できるのではないか」とした。

 市は既に災害ごみの処分に約6億3000万円の補正予算を計上しているが、今後は住家の解体などが進むため、追加のがれき処理に約20億円が必要になる見込みという。農業では、11事業者が公的支援の上限の2000万円を超える被害を受けている。国の生活再建支援制度の対象にならない半壊、準半壊世帯への支援なども含め、杉本市長は「市単独では、被災者へのプラスアルファの支援が難しい」と話した。6日に県に対応を求める要望書を提出する。【藤倉聡子】

毎日新聞

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