「今度あんな雨なら一発で駄目」 氾濫の恐怖でためらう自宅再建
「早く川を直してもらわんと、恐ろしくておれん」
石川県輪島市久手川(ふてがわ)地区に建つ瀬例(せいれい)敏之さん(69)の自宅前には、塚田川が流れる。瀬例さんは、川の流れを見ながら、途方に暮れていた。
◇能登半島地震で自宅が半壊
2024年元日の能登半島地震では、自宅が半壊した。水道が復旧したこの年の6月、避難先から戻った。
それから3カ月後の9月21日、線状降水帯に襲われた。雨漏りした屋根などを直して自宅を再建したばかりだった。
市内では、24時間の降水量が観測史上1位となる412ミリを記録した。
9月1カ月の平均降水量は214・5ミリ。その2倍近くの雨量だ。
加えて、各地で土砂や流木が大量に流れ出し、河川は氾濫した。その影響で、久手川地区では、4人が亡くなった。
◇「怖くて眠れず死を覚悟」
瀬例さんの自宅前には、塚田川の濁流が押し寄せていた。
「バケツをひっくり返したような雨だった。怖くて眠れず、死を覚悟した」
逃げ遅れた瀬例さんと妻が自宅から救助されたのは、豪雨から2日後だった。
「話にならんよ。どうすりゃいいんだ」。瀬例さんは豪雨の日をそう振り返る。
自宅は床下浸水だった。農機具を保管していた納屋は全壊し、車2台が水没した。
地震後に設置された仮設の水道管は流され、電柱もなぎ倒された。ライフラインの復旧のめどは、今も立っていない。瀬例さんは「みなし仮設住宅」と呼ばれる、輪島市が借り上げた市内の賃貸アパートで生活している。
◇対岸に渡れるほどの土砂や流木
豪雨の後、土砂と流木で埋め尽くされた塚田川は、歩いて対岸に渡れるほどだった。政府は応急対策で土砂と流木を取り除き、被災前と同じ水量を流せるようにした。
だが、護岸のコンクリートははがれ落ちたままで、岸壁の土はむき出しになったままだ。
今でも週に数回は自宅に戻り、カビを防ぐために換気している。ライフラインが復旧すれば、住み慣れた自宅で生活したいと考えている。
それでも塚田川の氾濫の恐怖から、ためらいもある。
国土交通省は、能登豪雨により塚田川の流域で21・3万立方メートルの土砂が流出したと推計している。東京ドームの2割弱の体積に相当する。
地震や豪雨の影響で緩くなって不安定な土砂は、今も約35万立方メートル残っているとみられる。
◇本格的な復旧工事はこれから
塚田川の本格的な復旧工事では、川幅を広げたり川底を掘削したりして流量を増やす。土砂が流れ出すのを防ぐため、上流部に砂防ダムを整備する。
近く着工し、29年度に完成させる予定だ。
「あんな雨がまた降ったら自宅は一発で駄目になる。川幅を広げるなどして、二度と氾濫しないようにしてほしい」
瀬例さんは、そう訴える。
能登豪雨の被災地では、瀬例さんのように川の流域で暮らしていたが、同じ場所で自宅を再建しようか、二の足を踏んでいる被災者が少なくない。
石川県が調べたところ、豪雨により38河川で護岸が崩れるなどの被害が出た。河川の本格的な復旧工事は、出水期が終わる今年11月以降に始まる。
特に被害の大きかった4河川の工事が終わる予定は、26~29年度という。【島袋太輔】
-
「北九州市がムスリム給食」誤情報拡散→市に苦情殺到 業務に支障も
「北九州市がムスリム対応の給食実施を決めた」との誤情報が交流サイト(SNS)で広まり、市に抗議する電話やメールが多数寄せられていることが判明した。市の海外連携…社 会 7時間前 毎日新聞
-
踏切で電車と車が衝突 けが人の情報 大阪・南海電鉄貝塚駅近く
23日午後7時35分ごろ、大阪府貝塚市の南海電鉄貝塚駅近くの踏切で、軽乗用車と電車が衝突した。けが人が出ているとの情報があり、地元消防や警察が詳しい原因を調べ…社 会 7時間前 毎日新聞
-
宿泊は100回超、180万円返還へ 活動費で不正 兵庫県議が辞職願
兵庫県の松井重樹県議(71)=たつの市・揖保郡選挙区選出=が、実際には面会していない県庁職員の名前を記載して、ホテルの宿泊代などを政務活動費として受け取ってい…社 会 8時間前 毎日新聞
-
<1分で解説>たばこポイ捨て…大阪・なんばがワースト1位のわけ
大阪府飲食業生活衛生同業組合が、全国6カ所でたばこの吸い殻のポイ捨て数を調べた結果、大阪市中央区のなんば駅周辺が4284本で全国ワースト1位となりました。1分…社 会 10時間前 毎日新聞
-
愛子さま、「愛馬の日」イベントに出席 メダリストや子供たちと交流
天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは23日、JRA馬事公苑(東京都世田谷区)で開かれた「第50回愛馬の日」に出席された。古式馬術の紹介など馬と親しむイベントで、愛…社 会 10時間前 毎日新聞