栃木市の農地転用問題 市農業委「同意の書面不要」に国は否定

2025/09/02 16:05 

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 栃木市藤岡町赤麻地区の農地が架空の土地賃貸借契約に基づき転用された問題で、市農業委員会は2日の市議会本会議で、賃貸借の場合、申請時に添付を求められる地権者の同意を証明する書面について「(添付は)現に所有権以外の権利で土地を利用している場合、所有者の同意を求める書類」とし、それ以外の場合は不要との見解を示した。元地権者の同意を確認しなかった自らの事務手続きを正当化した形だが、農林水産省関東農政局は「国の要領では『現に利用』など限定はしていない」と否定した。

 農地転用の手続きは、国が2009年12月、「農地法関係事務処理要領」を施行し都道府県や市町村向けの運用の指針としている。農家以外が転用する農地法の「5条申請」では、「所有権以外の権原に基づいて申請をする場合には、所有者の同意があったことを証する書面」を「添付させる」と規定している。関東農政局によると、賃貸借権に基づく申請にはこの規定が適用されるといい、「『現に利用している者』などの限定はない」と説明した。

 市農業委の見解は、針谷育造議員の一般質問に対し、熊倉宜和事務局長が答弁の中で示した。毎日新聞の取材に対し、熊倉事務局長は「要領の解釈について県に照会して答弁した」と答えた。

 申請人の社会福祉法人が申請書に記した「30年の賃貸借契約」の確認について、熊倉事務局長は「(転用)許可後の権利設定になるので、申請時に契約書の提出は求めておらず、確認していない」とし、許可後についても「農地でなくなり、農地法の審査の範ちゅうでは無くなるので確認していない」などと答弁した。【太田穣】

毎日新聞

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