墜落の空自F2戦闘機、機体引き揚げに着手 同型機訓練、再開の意向

2025/09/01 19:03 

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 航空自衛隊百里基地(茨城県)所属のF2戦闘機が訓練飛行中、太平洋に墜落した事故で、空自は1日、墜落機体の引き揚げに向けた作業に着手した。百里基地から北東に約150キロの海域(水深200~300メートル)に沈んでいるとみられ、機体主要部やフライトデータレコーダー(FDR、飛行記録装置)の回収など一連の作業に約2週間を要する見込み。

 一方、空自は事故後中止している同型機の訓練飛行について、FDRの回収、分析を待たずに再開する意向。ただし、空自機は5月にもT4練習機がため池に墜落し搭乗員2人が死亡したばかりで、防衛省内には「わずか3カ月の間に墜落事故が相次いだ事実は重い。国民の理解を得られるのか」と早期の訓練再開を疑問視する見方もある。

 空自トップの森田雄博・航空幕僚長は8月28日の定例記者会見で「内視鏡カメラでエンジン内部に異常がないかを確認する特別な点検を実施している」などと述べ、安全対策を徹底していると説明。訓練再開の時期については「安全の確保を前提に総合的かつ適切に判断していく」と明言を避け、国民の不安解消に向けて「真摯(しんし)に丁寧に対策を説明していくことに尽きる」と強調した。

 また森田氏は、深田サルベージ建設(大阪市)のグループ会社「オフショアエンジニアリング」(東京都)に引き揚げを約8億円で委託したことも明らかにした。

 F2の墜落事故は8月7日に発生。緊急脱出して無事だったパイロットの1等空尉は「エンジンが不調となり、推力が低下した。回復を試みたができなかった」などと説明したとされる。【松浦吉剛】

毎日新聞

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