血流し逃げてきた女性 水戸無差別襲撃、目撃者が語った緊迫の現場

2025/07/29 19:47 

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 水戸市の中心部で28日夜、男女6人が相次いで刃物などで襲われる事件が起きた。茨城県警水戸署は近くに住む職業不詳、塩原弘和容疑者(48)を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。6人と面識はなく、無差別に襲ったとみられる。水戸署への取材や目撃者の証言から、事件発生直後の緊迫した様子が判明した。

 現場は水戸市南町2の国道50号沿いの歩道と裏道。オフィスビルや飲食店などが建ち並ぶ水戸の中心部だ。8月2、3日に開かれる水戸黄門まつりのちょうちんが、国道をまたいで飾られている。

 事件が発生したのは28日午後6時10分ごろ。現場近くにはスーパーやバス停があり、買い物客や仕事帰りの人たちが多く通る時間帯だった。

 「訳の分からない人に切られた」。スーパーで買い物をしていた男性(70)は、高齢女性がそう言いながら、裏道側の入り口から店内に逃げてきた場面に遭遇した。女性は額から出血し、「無差別にやられた」と話していた。その頃、県警には「高齢の人が切りつけられて血だらけになっている」などと110番通報が多数入っていた。

 男性は店から裏道に出ると、周囲にいる人から容疑者が国道側に向かったと告げられた。スーパー前の国道の歩道に出ると、男性2~3人が容疑者を取り押さえていた。血を流しながら抑え込んでいる人もいて、驚いた男性は加勢した。

 容疑者は右手に長い刃物を持ち、腰に短刀をつけ、うつぶせの状態で抑え込まれていた。男性は刃物を握っている右手をこじ開けようとした。だが、容疑者は指が出ている革製のような手袋をつけて力強く握っていて、刃物を取り上げることができなかった。容疑者は言葉を発することなく、抵抗を続けていた。

 容疑者の右手をなんとかこじ開けて刃物を取り上げると、間もなく警察官が到着した。「早く手錠!」。男性が警察官に呼びかけると、警察官は容疑者に手錠を掛け、連行した。容疑者のそばには刃物のほか、顔全体を覆うゴーグル付きのマスクも落ちていた。

 水戸署によると、20~70代の男女6人が刃物などで襲われ、70歳と65歳の男性2人が重傷、残る4人も負傷した。殺傷能力の高い刃渡り約50センチのアウトドア用とサバイバルナイフのような刃物計4本を押収した。

 男性は「タイミングが悪ければ私も襲われていたかもしれない」と、こわ張った表情で振り返っていた。【井手一樹、斉藤瞳】

毎日新聞

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