室町時代前期の門外不出の兜を展示 春日大社の大鎧展で7月から

2025/06/30 17:00 

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 奈良市の春日大社・国宝殿で7月5日に開幕する「究極の国宝 大鎧(おおよろい)展―日本の工芸技術の粋を集めた甲冑(かっちゅう)の美の世界」に、後南朝の自天王(じてんのう)の遺品として奈良県川上村に伝わる室町時代前期の「繚糸威筋兜(はなだいとおどしすじかぶと)」(重文)が展示されることになった。自天王をしのぶ2月5日の御朝拝式で公開されるだけで、門外不出の兜。7月19~21日と8月28日~9月7日に限って展示する。

 自天王は南朝最後の天皇、後亀山天皇の子孫とされ、北朝・幕府の命をうけた赤松家の家来に18歳で殺された。川上郷士が首を取り返し手厚く葬った。自天王の遺品とされる兜と鎧胴丸、肩を守る袖が川上村に伝わり、信仰の対象となった。江戸時代に火災で鎧胴丸は焼け、焼け残った金具と袖が兜とともに村内の所蔵庫で保管されている。村が所有している。

 春日大社が村に出展を依頼。南朝と春日のつながりゆえに泉谷隆夫村長が今回に限って村外展示を決めた。南北朝時代の軍記物語である太平記には、京を追われた後醍醐天皇が奈良で道に迷った時に春日山から吉野山に光の橋のようなものがかかり、春日の神の導きで吉野に逃れたとの記述がある。

 大鎧展は9月7日まで(前期8月3日まで。後期8月9日から)。午前10時~午後5時。一般1500円▽高大生1200円▽小中生500円。【大川泰弘】

毎日新聞

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