理事とA級棋士、二刀流への決意 日本将棋連盟の糸谷哲郎八段
19年前、将棋の新人王戦優勝の表彰式の謝辞で、将棋界を「斜陽産業」と言い放った異能のA級棋士、糸谷哲郎八段(36)が6月6日付で日本将棋連盟の常務理事に就任した。
当時、圧倒的強さから「怪物」と言われた高校生棋士は、将棋人口の減少に危機感を抱いていた。13年には関西の若手棋士と女流棋士とで普及活動に取り組むユニット「西遊棋(さいゆうき)」を結成。イベントを企画し、新たなファン獲得に率先して汗を流してきた。
「藤井聡太名人の活躍で非常に多くの人が将棋を見てくれるようになったが、少子化はますます進み、構造上の問題は解決できていない。将棋界への恩返しのため、私を理事にしてダメだったと言われないよう頑張りたい」
毎日新聞の取材に応じた糸谷八段は真剣な表情で新任理事としての決意を述べた。
◇連盟初の女性会長「非常に大きなこと」
2006年4月にプロ棋士になって19年。14年にはタイトル戦初挑戦で竜王位を獲得し、今年度は名人戦の挑戦権獲得を争う順位戦のA級にも復帰した。まだまだ指し盛りの糸谷八段の理事選立候補は驚きだったが、立候補した理由を明かした。
「昔から(将棋連盟の)運営に対する意欲があり、30代も半ばを超え、例えは悪いですけど、プロ野球選手だと年上の選手がほとんどいなくなる時期なので、運営に入ろうかと」
師匠の森信雄七段(73)に伝えたときも、「そうか、いつかは君はやるだろうな、みたいな感じで、そんなに驚きもなく受け止めていただいた」という。
新任理事として、女性で初めて将棋連盟の会長になった清水市代女流七段(56)を支えていくことになる。
「プレーヤーのほとんどが男性だった将棋も、だんだん女性にもプレーしてもらえるようになった。プレーされる人の数自体が、その文化の力ということはあるので、プレー人口を増やす上でも、清水会長の就任は非常に大きなこと」と期待する。
◇A級復帰、第1戦は豊島九段と
理事としての担務は、関西本部の棋戦運営と総務。「棋譜の自動記録なども導入が始まり、対局環境が変化していく中で、棋士が盤上に全てを集中できるよう環境を整えていきたい」
理事に就任してからは、月曜から金曜まで毎日、午前9時半に大阪府高槻市にある関西将棋会館の理事室に入る。会議も多く、当然、練習将棋など将棋の勉強時間は激減する。その中での、トップ棋士が集うA級復帰。いかに戦っていくのだろうか。
「最近の将棋は少ない戦型に収れんしていっているが、前期の順位戦はいろんな戦い方を駆使して、なんとかA級に復帰できた。研究会(練習将棋)は減るが、その分、自分1人で考える時間は増えると思うので、うまくカバーして戦っていきたい。(序中盤の定跡化が進む)相掛かりや角換わりを主戦場にすることは少ないと思う。やるとしても、いっぷう変わった工夫を加えて指していきたい」
A級の復帰第1戦は6月25日、少年時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた豊島将之九段(35)と対戦する。理事との二刀流で、どんな将棋を見せてくれるのか、期待が膨らむ。【新土居仁昌】
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