いすみ鉄道、27年秋までに一部運行再開へ 千葉県などに支援要請

2025/06/02 22:18 

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 全線運休が続く第三セクター「いすみ鉄道」(千葉県大多喜町)は2日、利用者の多い東側の大原―大多喜駅間(15・9キロ)について2027年秋ごろまでに運行再開を目指す方針を発表した。復旧費用約14億5000万円の支援を、県と近隣の自治体に要請した。

 いすみ鉄道の古竹孝一社長が記者会見で明らかにした。小湊鉄道と接続する西側の大多喜―上総中野駅間(10・9キロ)の再開時期は未定としており、全線再開の見通しは立っていない。

 24年10月、いすみ鉄道の大原発上総中野行き普通列車(2両編成)が、いすみ市苅谷を走行中に脱線した。通学中の県立大多喜高校の生徒ら乗客104人が乗っていたが、運転士1人を含めてけがはなかった。

 列車は現場近くの線路上に移され、運輸安全委員会や専門機関による調査が進められた。単線のため全区間で運転を見合わせ、一部工事と代行バスの運行を続けてきた。

 今回発表した計画では、事故原因とされる老朽化した枕木の交換などを実施し、工事に約10億円、バスによる代行に約4億5000万円を充てる。県が半分、近隣の大多喜町、いすみ市、勝浦市、御宿町で残り半分を支出する。

 いすみ鉄道では13年にも脱線事故が起き、枕木の腐食などでレールの間隔が広がったことが原因とされた。

 古竹社長は、大原―大多喜駅間で枕木約2700本を強度の強いコンクリート製を中心に交換する必要があると判断。広範囲にわたる点検や修繕が必要との見方が強まり、再開日程の発表は延び延びになっていた。

 古竹社長は「代行輸送をしっかりと確保しながら安全対策の徹底を図る。一日も早い再開に努力したい」と説明した。一方、熊谷俊人知事は「一日も早い復旧が地域にとって重要だ。経費の支援は関係市町としっかり連携して対応を検討する」とコメントした。【高橋秀郎】

毎日新聞

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