「アメリカに食料主権差し出すな」官邸前で農家ら抗議 関税交渉巡り

2025/05/16 19:37 

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 農業に従事する人たちで作る農民運動全国連合会(農民連・長谷川敏郎会長)は16日、東京都千代田区の首相官邸前で、「食料主権をアメリカに差し出すな」とする緊急行動を行った。農民連の呼びかけに約70人の農民や消費者団体、労働組合のメンバーらが集まり、農産物を交渉カードにするような政府の関税交渉に抗議した。

 行動は、日米貿易交渉で米や大豆、トウモロコシなど農産物輸入の拡大を交渉カードとして検討されていることへの抗議として計画した。農民連は「米不足の対策は農産物輸入ではなく、国内増産で自給率を引き上げることだ。輸入拡大では日本の農業は終わってしまう」と訴えた。

 行動で神奈川県の農業、高橋マス子さんは「私は野菜農家だが、最近スーパーには国産の野菜が少ない。採算が合わないから離農が進み生産されないのだ。この国から農業者がいなくなったら、誰が食料を作るのか。政策を変える瀬戸際だ」と危機感をあらわにした。また、東大名誉教授(農業経済学)の鈴木宣弘さんが「国は(米の)生産抑制をやめ、増産に政策転換すべきだ。アメリカに米を差し出すようなことは絶対に許されない」とのメッセージを寄せた。【東海林智】

毎日新聞

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