「ミュゼ」今年に入って給与払わず、未払い総額15億円 元従業員訴え

2025/05/16 21:16 

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 脱毛サロンチェーン「ミュゼプラチナム」の元従業員9人が16日、給与が支払われない状態が続いているとして、運営会社「MPH」(東京都大田区)の破産手続きの開始を東京地裁に申し立てた。地裁が今後、開始の是非を判断する。帝国データバンクによると、給与の未払い総額は約15億円、負債総額は約300億円に上ると見込まれる。

 申立書によると、元従業員らは今年に入って給与が払われていない。MPHは3月に代表が同じ別の会社に対して資産の大半を担保とする弁済契約を結んでおり、資産が流出する可能性を指摘している。取引先の1社も元従業員とともに手続きを申し立てた。

 記者会見した30代の元従業員の女性は2024年4月ごろから給与支払いが遅れるようになり、何度も支払いの約束をほごにされたと説明。今年3月末には全従業員に退職勧告が出され、女性も退職を余儀なくされたといい「(MPHは)信用できない。一日でも早く解決することを願っている」と涙ながらに訴えた。

 帝国データバンクによると、ミュゼプラチナムは24年12月時点で全国に167店を展開し、従業員は約3300人。会員数は延べ400万人超に上る。

 過大な広告費や新型コロナウイルス禍による店舗休業などで業績が悪化。客からのクレームが増え、取引先への支払いも遅れがちになっていた。今年3月に全店舗の営業停止が発表され、混乱が広がった。

 元従業員らの代理人弁護士は「会社の資産が不正に流出する可能性があり、透明な手続きを進めてもらうため破産を申し立てた」と話した。MPHは「破産申し立てが事実であれば、真摯(しんし)に受け止めて、引き続き事業再生に向けてまい進する。未払いの給与の支払いは計画を立てて準備している」とのコメントを発表した。

 破産手続きが開始されると、選任された破産管財人がMPHの財産状況を調査し、資産を分配する。【安達恒太郎】

毎日新聞

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