「地域で最悪シナリオ認識を」 南海トラフ地震、防災専門家の視点
東海沖から九州沖を震源域とする「南海トラフ巨大地震」について、国の有識者会議は31日、最悪の場合は直接死が29万8000人、全壊・焼失建物が235万棟に上るとする新たな被害想定を公表した。この結果をどう受け止め、どのような対策を講じていけばいいのか。防災の専門家に話を聞いた。
◇「半割れ」「全割れ」異なる被害
◇西村卓也・京都大防災研究所地震災害研究センター教授(測地学)
さまざまな状況やシミュレーションの数字が盛り込まれた今回の被害想定をどう活用するか。重要なのは、住まいや通学先、勤務先など自分の生活圏がどのような被害を受ける可能性があるのかを把握することだ。
まず津波は居住地に到達するか確かめてほしい。もし到達する場合、逃げる時間はどのくらいあるのか。どこへ逃げたらいいのか。こうした情報を頭に入れておくと、万が一の時に違いが出る。ハザードマップやシミュレーションを活用してほしい。
難しいのは、地震の発生形態がとても多様なことだ。地震の揺れは地盤によって影響が異なり、地点が少し離れただけで震度が2程度変わることもある。震源の場所や地震の規模によってあらゆる可能性がある。
被害想定はその中から一定のケースを取り出し、住民に知らせる役割を担っている。例えば今回初めて、「半割れ」の被害想定が入った。過去の南海トラフ地震は半割れケースが多い。半割れが発生した場合、中間地点に先発地震と同じような強さの揺れが2回も来ることになる。先発地震の揺れに耐えられた建物でも、後発地震で倒壊する恐れがあり、「全割れ」とは異なる被害が予想される。
地域ごとに最悪のシナリオを認識しておくことが大切だ。区市町村レベルの自治体が、今回の被害想定をもとに最悪のケースを住民に向けてかみ砕き、分かりやすく伝え、その地域に合った対策に取り組むことが求められる。【聞き手・大野友嘉子】
◇「関連死防ぐ“生きる望み”を」
◇河田恵昭・関西大社会安全研究センター長(危機管理学)
災害関連死では、さらに高齢化が進んで75歳以上の後期高齢者が増えていくと、被災により生きる力がそがれやすくなることに注視しないといけない。
石川県の医師には金沢大医学部の出身者が多い。2024年の能登半島地震では、県医師会が中心となってそうしたネットワークを活用するなどして、医学的にできることが最大限実施された。安全な場所に移動し、落ち着いた生活環境を確保するためにホテルなどの宿泊施設に避難してもらった被災者もいた。それでも関連死は相次いでいる。
つまり、関連死を防ぐには、避難所の環境や医療、福祉の課題を改善することは重要だが、それだけで防げる問題ではないのだ。
地震で高齢者が1人生き残り、周りの家族らが死亡したら、生きる望みが小さくなる。関連死を防ぐには、心が傷ついたままの環境ではいけない。私たちはロボットではないのだ。被災時に備え、日々の生活で安全、安心な環境が作れるよう、社会で真剣に考えるべきだ。【聞き手・砂押健太】
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