フリーランス取引に初指導 ゲーム会社など調査対象の半数超 公取委

2025/03/28 15:30 

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 フリーランスに報酬の額を示さないまま取引を依頼したなどとして、公正取引委員会は28日、ゲーム会社など計45社にフリーランス取引適正化法の違反や違反の恐れがあると認定し、是正を求める指導を行ったと発表した。同法に基づく指導は初めて。公取委の調査対象企業の半数以上に違反が確認されたといい、担当者は「法の周知や監視を強化する」としている。

 公取委によると、指導の対象となったのはゲームソフトを開発・販売するゲーム会社のほか、アニメ制作会社▽リラクセーションサロン▽フィットネスクラブ――の4業種45社。

 各社は、雇用関係を結んでいないフリーランスに対し、フリーランス取引適正化法が規定する「取引条件の明示義務」や「期日における報酬支払い義務」に違反や違反の恐れがあった。

 具体的には、オンラインゲームのイラスト制作を依頼しながら報酬額や受取日を示さないケースがあった。またフィットネスクラブ関連のネット交流サービス(SNS)への動画投稿を委託しながら、報酬の支払いについて、法定の期日を超える可能性のある日付を設定するなどしていた。

 企業や団体と雇用関係にないフリーランスの保護を目的に定められたフリーランス取引適正化法は2024年11月に施行された。公取委は施行に合わせ、ゲーム会社などフリーランスとの取引が多い4業種77社を調査。半数を超える45社で違反や違反の恐れを確認したという。

 公取委の担当者は「フリーランスと事業者ともにトラブルを回避する意味でも、取引条件の明示などは重要」と指摘した上で「フリーランスからの相談を継続的に受け付け、違反行為の調査や是正を通じて取引を適正化したい」と語る。

 公取委は専用の窓口を設置し、今後も違反情報を積極的に収集していく考え。勧告に相当する違反については社名や違反の概要を公表する方針も示している。【山田豊】

毎日新聞

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