茨城県副知事の秘書死亡 第三者委「パワハラ、過重労働なし」

2025/02/12 21:03 

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 2024年10月に飯塚博之副知事(62)の男性秘書が死亡した問題で、茨城県は12日、第三者委員会が業務との因果関係を調査した結果、飯塚氏のパワーハラスメントはなかったと発表した。飯塚氏と秘書課長はこの日、厳重注意処分を受けた。飯塚氏は報道陣の取材に「処分は重く受け止める」と述べ、続投する意向を示した。

 県などによると、死亡した秘書は22年4月から秘書課に配属され、飯塚氏の日程管理や業務の調整に当たっていた。複数の県関係者によると、副知事との業務上のやり取りについて秘書が悩んでいたとされる。自殺とみられ、飯塚氏からパワハラを受けていた可能性があるという情報もあった。

 県によると、遺族からパワハラの有無などを調べるよう要望を受け、弁護士2人と公認心理師、社会保険労務士の計4人で構成する第三者委を24年11月26日に設置。非公開で委員会を計10回開催し、遺族や職員、飯塚氏ら12人から聞き取りを行い、秘書が業務で使用するパソコンや携帯電話などを調べた。

 その結果、第三者委は「秘書へのパワハラや過重労働はなく、職場の対応にも特に問題はなかった」と結論づけ、7日に県へ報告書を提出。パワハラと認定されなかったが、飯塚氏と秘書課長を処分した理由について、県の山口裕之総務部長は「職員が亡くなり遺族から(パワハラや過重労働の有無など)疑念を持たれ、第三者委が調査をしなければならない状況を招いたため」と説明した。

 飯塚氏は秘書への対応について「声をあげたり、物を投げたりしたことは一切していないと思う」「強い当たりはなかったと思うが、全くなかったとまでは言い切れない」と説明。「亡くなった職員に哀悼の意を表し、遺族にお悔やみを申し上げたい」と述べた。進退について「知事からもしっかりやれと言われているので今辞める考えはない」と語った。

 大井川和彦知事はコメントを発表。遺族に疑念を持たれたことなどについて県民に謝罪した上で、「職員が働きやすい、風通しの良い職場環境作りに努める」などとした。

 飯塚氏は1987年に入庁。財政課などに在籍し、秘書課長や総務部長、県庁改革推進官などを歴任した。23年12月に副知事に就任し、任期は4年。

 秘書を知る県関係者は「気遣いのできる人で、温厚な性格だった。ただ生前は仕事に悩んでいる様子だった。一生懸命働いていたので亡くなったのは残念でならない」と語った。【川島一輝、鈴木敬子、西夏生】

毎日新聞

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