「ぎりぎりまで悩んだ執行猶予」闇バイト強盗の21歳に裁判長は諭した
山口県下松市の住宅兼会社事務所で2024年3月に起きた強盗致傷事件で、強盗致傷や建造物侵入などの罪に問われた広島県竹原市のとび職、佐々木七海被告(21)の裁判員裁判で、山口地裁(安達拓裁判長)は4日、懲役3年、保護観察付き執行猶予5年(求刑・懲役6年)の判決を言い渡した。
安達裁判長は判決で「強盗致傷という重大な犯罪に加担したことに厳しい非難は免れない」と指摘。一方、「犯行グループの末端として他の共犯者らから相当強度な脅迫を受け、車の運転の限度で犯行に加担し、報酬の受け取りを拒否した。犯行の関与に積極的でなかった」と判示した。また、「犯行に加担した経緯など判断力は未熟」として保護観察付きの執行猶予とした。
判決などによると、佐々木被告は闇バイトで集められた他の被告らと共謀し、24年3月12日朝、下松市内の会社事務所のガラスを割って侵入。住人の60代男性の頭をバールで殴るなどして骨折など全治約1カ月の大けがをさせ、現金約470万円とかばんなど(約17万円相当)を奪った。佐々木被告は主に運転手役として関わり、事件は離合集散する「匿名・流動型犯罪グループ」によって起きた。
判決の宣告後、安達裁判長は「自らの弱さに目を向けて、なぜ自分が誤った判断をしてしまったのかを考え続けてほしい」などと説諭した。【小澤優奈】
裁判長の説諭の一部は以下の通り(取材メモを基に作成)。
◇
この判決の結論は、簡単に出たものではありません。裁判官、裁判員が実刑とすべきか、執行猶予とすべきか、ぎりぎりまで悩んだ末に決めたものです。今回の強盗致傷事件は重大な犯罪で、被害者夫妻の身体、財産、心に大きな傷を与え、被害者はいまだに被害に苦しんでいます。今回の事件は、周囲に住む人たちにも多大な不安を与えています。自分がやったことの重大性を決して忘れないでほしいと思います。
被告は法廷で事件に関わった経緯を話していますが、率直に言って、被告の話を全面的に信じているわけではありません。ただ、共犯者から脅されて怖かったというのは、そうだったんだろうと思います。しかし、怖かったからといって、強盗致傷などの重い事件に加担したことは、被告の考えの浅はかさ、弱さを示していると思います。自らの弱さに目を向けて、なぜ自分が誤った判断をしてしまったのかを考え続けてほしいです。
この判決は軽いものではありません。周囲から厳しい目で見られるのは当然です。執行猶予としたのは、被告を許したわけではなく、社会で保護観察のもと生活をすることが被告の責任の取り方としてふさわしいと考えたからです。決して、この判決を軽く受け止めないでください。
被告は恵まれています。普通は仕事も失います。被告は現在、やりがいのある仕事に就き、自宅で生活できています。それは、雇用主や家族が支えているからで、当然のことではありません。被告は感謝の気持ちを持ち、この人たちを二度と法廷に立たせることのないようにしてください。
生まれ変わるつもりで、仕事を続けてほしいと思います。裁判所は被告の立ち直りを期待しています。この思いを裏切ることのないようにしてください。
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