1946年創業…伊東の仕出し弁当店「祇園」が廃業 看板のいなり寿し、駅弁販売 突然の閉店惜…

2025/10/05 11:15 

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 伊東市内で4店舗を営む老舗仕出し弁当店「祇園」が1日、破産手続きに入った。同社のホームページなどで公表した。新型コロナウイルス禍の直後から続く原材料やエネルギー価格の高騰が主な要因。看板商品の「いなり寿し」は伊東名物として長年親しまれてきた。名店の突然の閉店を惜しむ声が上がった。
 同社は1946年創業。戦後、貴重だった砂糖や米を使ったいなり寿しの専門店として人気になり、駅弁に参入した。地元の慶弔行事に欠かせない仕出し弁当として重宝され、数少ない伊東名物として旅行客の定番にもなっていた。
 現在は、本店のほか、伊東駅、道の駅「伊東マリンタウン」など4店を展開していたが、1日から製造・販売ともに営業を停止した。パートを含めた従業員20人余りには同日、解雇を通知したという。
 同社によると、2010年以降15年連続で売上は過去最高を更新。価格改定を実施したが、長引く原材料高騰で利益が出ず、資金が枯渇したと説明した。5代目の守谷匡司社長は「急なことで取引先やお客さんに申し訳ない。地元に支えられ約80年やってきた。感謝している」と話した。
 状況を知らずに昼食を買いに同市広野の本店を訪れた70代男性は破産を告げる張り紙に驚きの表情を見せ、「子どもの頃から地元の集まりはここの弁当。伊東でほかに代わる店がない」と思い出が詰まった味が失われることを残念がった。地元商店街の関係者からは「物価高で一日も早い経済対策が必要なのに、政争をしている場合ではない」と市長の学歴詐称疑惑を巡って機能不全に陥る市政に苦言もあった。
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