国産レモンの生産法人が誕生、磐田市と広島県に自社農園確保へ 鈴生やポッカサッポロなど合弁 …

2025/09/22 11:16 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 農産物生産の鈴生(静岡市)と大手飲料・食品メーカーのポッカサッポロフード&ビバレッジ(名古屋市)、食品商社の西本Wismettacホールディングス(東京都)は8日、国産レモンの生産振興に向け、合弁で農業法人「レモニティ」を静岡市葵区に設立したと発表した。耕作放棄地などを活用して、2026年に磐田市と広島県江田島市にそれぞれ約5ヘクタールの自社農園を確保し、レモン栽培に着手する。
 設立は今月3日付。出資比率は非公表だが、鈴生が議決権ベースで株式の過半数を保有する。同社の鈴木貴博社長が新会社の社長も務める。鈴生が知見を生かしてレモン栽培の中心を担う。自社栽培分に加えて、レモンの産地化を進めている磐田市などの生産者からも集荷し、加工用はポッカサッポロに、青果向けは西本に販売する。両社は国産レモンの品質などを生かし、商品開発や販路拡大につなげる。
 自社農園は10ヘクタールからスタートするが、磐田、江田島両市を中心に30年に50ヘクタール、35年には100ヘクタールに広げる方針。耕作放棄地などの集約による大規模化と並行し、35年には3千トンの収穫を実現して国産のシェア3割を目指す。先端技術を生かしたスマート農業化も図る。新会社は設立時点で従業員6人だが、農園の拡大に合わせて地元雇用を進める。
 農地の中でも特に果樹園で耕作放棄地が増える一方、レモンを使ったドリンクやグルメの人気が高まっていることから、現在は輸入品の4分の1程度しか国内市場に供給されていない国産の需要は拡大すると見込んだ。鈴木社長は「果樹栽培は初期投資が大きく、収益化まで時間がかかる。安定した販路の確保も必須」とし、各社の資本力やネットワークを生かした事業展開に意欲を示した。産地化を加速させるため、次世代生産者の育成にも取り組むとした。
 ポッカサッポロの佐藤雅志社長は「国産レモンの市場を拡大・活性化させ、地域への貢献、産地振興につなげたい」と述べ、西本の新開裕之社長(三島市出身)は「安心・安全、高品質な国産レモンの安定供給を一緒に実現したい」と強調した。
静岡新聞

静岡ニュース

静岡ニュース一覧>

注目の情報