天竜の「浜松ワインセラー」 幻の路線のトンネル活用 「ともに時間を重ねていけたら…」

2025/09/01 09:12 

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 北遠地域で昭和後期に建設計画が中止され、幻と消えた旧国鉄佐久間線。その一部で未貫通のままになっている「相津トンネル」を活用したワインセラーが浜松市天竜区にある。
 浜松ワインセラー(山本六二郎社長)は全長約1キロの同トンネルをワイン熟成庫として活用している。山本社長が地域振興にと、放置されていたトンネルを市から借り受けて2009年に開設した。年間を通じてワイン熟成に最適な温度15〜17度、湿度70〜80%を電気を使わずに維持している。施設管理担当でソムリエの福田芳久さん(32)によるとトンネルを使ったワインセラーは国内で2カ所だけだという。全国の顧客が預けた10万本ほどのボトルが、トンネル壁面の両脇を覆う鍵付きの棚の中で眠る。福田さんは「昭和で時間が止まったこのトンネルが、今後はワインとともに時間を重ねていけたら」とボトルを見つめた。
 佐久間線は旧国鉄二俣線の遠江二俣駅(現天竜二俣駅)と飯田線の中部天竜駅を結ぶ延長約35キロの鉄道事業計画。1967(昭和42)年に着工したが、80年に国鉄再建法が施行され工事が凍結。88年に計画が正式に中止された。
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