カンヌの夜空に「匠の技」咲く 藤枝の「イケブン」が世界的花火芸術祭で最高賞 出場に思わぬ壁…

2025/08/26 09:08 

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 フランス・カンヌ市で開かれた世界で最も権威ある花火大会の一つ「カンヌ花火芸術祭」で24日(日本時間25日)、日本から出場したイケブン(藤枝市)が最高賞「ヴェスタール賞」と一般投票の「オーディエンス賞」の2冠に輝いた。音楽に合わせた欧州スタイルのショーに、日本伝統の1発の鮮やかさを融合させ約20万人の観客を魅了した。
 同社が担当する「清水みなと祭り」の花火映像が動画投稿サイトで芸術祭関係者の目に留まり、静岡市とカンヌ市の姉妹都市交流事業として出場した。テーマは「共鳴し合う音」。日本の伝統音楽や欧州でも人気のアニメ主題歌などに合わせて約6千発を打ち上げた作品は、審査員に「前例のない色彩の豊かさ」「音楽と花火は厳格に一致していた。これぞ花火芸術の本質」と高く評価された。
 欧州の厳しい輸入規制をクリアするのに2年を要し、直前には安全面から船会社に花火輸送を断られ、出番は当初予定の7月14日から8月15日にずれ込んだという。同社の高橋美帆子副工場長は「出場を諦めたことが何度もあった」と振り返った上で「静岡市をはじめ多くの関係者に支えられた。打ち上げ前に君が代が流れ、最初の花火が開いた時の歓声は忘れられない」と感慨深げに話した。
 市によると、フランスへの日本製花火輸出は24年ぶり。輸出入規制の強化により披露される機会が激減していた欧州で日本花火の新たな可能性を示し、高橋副工場長は「(挑戦は)終わりではなく始まり。日本の花火技術が世界でさらに評価されるきっかけになれば」と期待を寄せる。
 難波喬司市長も「清水港で打ち上げられる花火が、芸術文化に造詣の深いフランスで評価され大変うれしい。イケブンの果敢な挑戦に敬意を表します」とコメントした。
静岡新聞

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