防空壕は温泉への回廊に 伊東の老舗旅館「大東館」

2025/08/14 08:18 

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 伊東市の老舗旅館「大東館」では、第2次世界大戦時に掘られた防空壕(ごう)を活用した温泉施設が人気を集めている。
 旅館自慢の「貸し切り五右衛門風呂」と同館内をつなげる回廊に防空壕を活用している。壕は戦局が悪化した1943(昭和18)年頃、旧日本陸軍第22工兵部隊により敵国の上陸を想定して造られた。国民の避難をはじめ、戦争物資の貯蔵、軍本部の設置などを目的に熱海市網代から伊東市内に30カ所ほどを掘ったものの一つで、総延長は300メートルほどになる。現在回廊として利用している箇所は同壕の入り口付近。回廊の脇には他の壕につながる穴が幾つも見られる。同旅館の支配人補佐の伊藤晴美さん(32)は「訪れた人は反応はさまざま。戦争の記憶や遺産をこれからも平和的に活用して、後世につなげていければと思っている」と話す。
 同壕壁面のしま模様は約2万3千年前、鉢ケ窪火山列の噴火で折り重なったスコリア(暗色の軽石)層で、2018年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)から世界ジオパークの認定を受けた「伊豆半島ジオパーク」のジオサイトにも登録されている。
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