浜北特支の池田選手、最後までチーム鼓舞 静岡県高校野球史上初の挑戦「楽しかった」 出場の夢…

2025/07/07 08:42 

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 大会2日目を迎えた全国高校野球選手権静岡大会で6日、特別支援学校の生徒が史上初めてベンチ入りした。浜松湖北佐久間、熱海との連合チームの一員として最初で最後の夏に臨んだ浜北特別支援学校3年の池田謙信選手(17)=浜松市浜名区=。チームは初戦で浜松日体に敗れ、自身も試合への出場はかなわなかった。それでも、107回の歴史で初という大きな挑戦に、球場から惜しみない拍手が送られた。
 「いいバッター!」「ツーアウト、ツーアウト!」。一塁コーチャーとして、また、ベンチから声を張り上げた。伝令役も務めるなど、チームが劣勢に立たされる中、最後まで仲間を鼓舞し続けた。試合に出られなかったことには悔しさをにじませつつ「励まし合えた」と充実の表情を浮かべた。「謙信」の勇姿を見届けようと、スタンドには浜北特支の教職員や保護者、同級生ら約100人が駆けつけた。
 今後は、所属するサッカー部の活動に力を入れながら、野球も続けていくつもりだ。大会に参加したことで新しい目標もできた。「野球をしたいと思っている子に教えてあげたい」。自身が果たせなかった、試合で活躍するという夢は後輩に託したいと思っている。
 試合終了後、両親や先生をはじめ、これまで応援してくれた人たちに感謝を伝えた。いつも大切にしてきた「大きな声」で、堂々と。3カ月間の挑戦を近くで見守ってきた同校監督で担任の袴田裕之教諭(43)は教え子の成長に「硬球を投げたこともなかったのに、よくここまでたどり着いた」と目を細めた。
 短い時間だったけど、一緒にプレーした仲間たちのことはこれからも忘れない。「仲のいいチーム。楽しかった」。本県の高校野球史に確かな足跡を残した球児は、爽やかな笑みで球場を後にした。
静岡新聞

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