広がる「5歳児健診」静岡県内でも実施自治体が増加中 発達障害の早期発見へ
静岡県内で、集団生活で必要な社会性の発達などを評価する5歳時健診を行う市町が増えている。2024年度までの2市町から、26年度までには19市町と増加する見通し。今後2〜3年以内をめどに始める予定の市町もある。15年以上前から独自で実施する静岡市内の保育施設では、健診で得られた課題を家庭と共有して保育で関わり方を工夫するなど、就学に向けて必要な支援につなげている。
■言語発達や運動機能を観察 個々の課題に対応
「学校を意識した時に保育の中でケアすべき点や、保護者が気づきにくいところを専門的な視点で診てもらえる」。08年から5歳児健診を行う市立安東こども園の保育士松下菜摘さん(34)は、健診のメリットを挙げる。同園で健診対象にする年中児の担任経験はないが、診察する園医のアドバイスは園内で共有し、保育者全員が同じ目線で保育に当たってきたという。
同園の健診は保護者が同席し、園医や園側の担当者が事前の問診票を見ながら、ルールのある遊びや絵本の読み聞かせなどを通じて集団での子どもたちの様子を観察する。個別診察では片足立ちや3往復のしりとり、質問への返答などを通じて運動機能や理解度などを確認する。園医の三田智子医師(県小児科医会会長)は「集団の中で過ごす力が伸びている時期に、順調に発達しているかを診たい」と説明する。健診の重要な目的には「見つけた課題に対して就学までに時間をかけて準備し、楽しく学校生活が送れるように応援できる」と強調する。
保育では健診後のカンファレンスを踏まえて、言語発達を促すためにしりとりや歌、絵本などを意識して取り入れたり、運動発達を促す縄跳び遊びを強化したりと、個々の課題に応じた対応を図る。「保護者と情報共有することが肝」(三田医師)となり、保護者の協力も得ながら睡眠時間や食事など生活習慣の見直しにもつながっている。
全国的にはこれまで、3歳児健診以降、就学時健診(就学の4カ月前までに実施)までに健診がなく、国は23年度から実施費用の助成を始めて全国での実施を目指している。県こども未来課によると、県内で本年度から実施するのは11市町で、来年度から予定するのは6市町。8市町は2〜3年以内をめどに実施を予定する。
■人材確保が課題 先行自治体「関係部署間の連携重要」
県こども未来課が県内全35市町に実施した調査では、5歳児健診を実施する上での課題として、医師や心理職などの専門職を含めた人材の確保を挙げる声が多かった。教育現場や保育施設との連携、実施後のフォロー体制の確保なども課題に出た。
県は昨年から、5歳児健診の周知や従事者のスキルアップを図る研修を外部への委託を含めて実施していて、本年度も実施する。同課の担当者は「県として何に取り組めば実施の後押しになるか、(調査結果も踏まえて)情報収集しながら検討したい」と話す。
5歳時健診は、発達や行動の評価と、その後の継続支援によって就学後の不登校が減少したとする国内の研究結果が出ている。2013年度から5歳時健診を実施している伊豆市は、子育て支援と学校教育、社会福祉の部署が連携して当たる。健診時は、保護者に対して就学までの流れや学校の種類などについて説明する時間を設け、個別相談にも応じている。同市の担当者は「健診結果を生かして就学を見据えたフォローにつなげるためには、関係部署間の連携が重要になる」と話す。
<メモ>5歳児は言語を理解する能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期。必要な対応の有無によって、その後の成長・発達に影響を及ぼすと言われている。5歳児健診は実施年度に満5歳となる幼児(標準的には4歳6カ月〜5歳6カ月の幼児)を対象に、集団における立ち振る舞いを評価して社会性の発達状況を把握する。学童期や思春期に課題となる生活リズムや食習慣、運動習慣、メディア利用などを確認し、適切な生活習慣を身につける機会としても重要な役割を担う。子どもや家庭の状況に応じて医療・保健・福祉・教育の専門機関につなぎ、多職種で就学に向けて必要な準備を進める。
■言語発達や運動機能を観察 個々の課題に対応
「学校を意識した時に保育の中でケアすべき点や、保護者が気づきにくいところを専門的な視点で診てもらえる」。08年から5歳児健診を行う市立安東こども園の保育士松下菜摘さん(34)は、健診のメリットを挙げる。同園で健診対象にする年中児の担任経験はないが、診察する園医のアドバイスは園内で共有し、保育者全員が同じ目線で保育に当たってきたという。
同園の健診は保護者が同席し、園医や園側の担当者が事前の問診票を見ながら、ルールのある遊びや絵本の読み聞かせなどを通じて集団での子どもたちの様子を観察する。個別診察では片足立ちや3往復のしりとり、質問への返答などを通じて運動機能や理解度などを確認する。園医の三田智子医師(県小児科医会会長)は「集団の中で過ごす力が伸びている時期に、順調に発達しているかを診たい」と説明する。健診の重要な目的には「見つけた課題に対して就学までに時間をかけて準備し、楽しく学校生活が送れるように応援できる」と強調する。
保育では健診後のカンファレンスを踏まえて、言語発達を促すためにしりとりや歌、絵本などを意識して取り入れたり、運動発達を促す縄跳び遊びを強化したりと、個々の課題に応じた対応を図る。「保護者と情報共有することが肝」(三田医師)となり、保護者の協力も得ながら睡眠時間や食事など生活習慣の見直しにもつながっている。
全国的にはこれまで、3歳児健診以降、就学時健診(就学の4カ月前までに実施)までに健診がなく、国は23年度から実施費用の助成を始めて全国での実施を目指している。県こども未来課によると、県内で本年度から実施するのは11市町で、来年度から予定するのは6市町。8市町は2〜3年以内をめどに実施を予定する。
■人材確保が課題 先行自治体「関係部署間の連携重要」
県こども未来課が県内全35市町に実施した調査では、5歳児健診を実施する上での課題として、医師や心理職などの専門職を含めた人材の確保を挙げる声が多かった。教育現場や保育施設との連携、実施後のフォロー体制の確保なども課題に出た。
県は昨年から、5歳児健診の周知や従事者のスキルアップを図る研修を外部への委託を含めて実施していて、本年度も実施する。同課の担当者は「県として何に取り組めば実施の後押しになるか、(調査結果も踏まえて)情報収集しながら検討したい」と話す。
5歳時健診は、発達や行動の評価と、その後の継続支援によって就学後の不登校が減少したとする国内の研究結果が出ている。2013年度から5歳時健診を実施している伊豆市は、子育て支援と学校教育、社会福祉の部署が連携して当たる。健診時は、保護者に対して就学までの流れや学校の種類などについて説明する時間を設け、個別相談にも応じている。同市の担当者は「健診結果を生かして就学を見据えたフォローにつなげるためには、関係部署間の連携が重要になる」と話す。
<メモ>5歳児は言語を理解する能力や社会性が高まり、発達障害が認知される時期。必要な対応の有無によって、その後の成長・発達に影響を及ぼすと言われている。5歳児健診は実施年度に満5歳となる幼児(標準的には4歳6カ月〜5歳6カ月の幼児)を対象に、集団における立ち振る舞いを評価して社会性の発達状況を把握する。学童期や思春期に課題となる生活リズムや食習慣、運動習慣、メディア利用などを確認し、適切な生活習慣を身につける機会としても重要な役割を担う。子どもや家庭の状況に応じて医療・保健・福祉・教育の専門機関につなぎ、多職種で就学に向けて必要な準備を進める。
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