レモンを静岡県東部の特産に 生産者組織発足、加工品の需要も期待 魅力「まず地元に」

2025/06/04 09:30 

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 静岡県東部でレモンの産地化に向けた動きが本格化している。今春には農家47人で生産者組織が発足した。生鮮品だけでなく、菓子や調味料など加工品としての需要も見込まれ、さらなる生産拡大が期待される。
 熱海市が「国産発祥の地」とされるレモンを県東部の新たな特産品にしようと、JAふじ伊豆(沼津市)は2023年度、生産振興プロジェクトを開始した。鮮度や果汁量が重視されるレモンは品質の統一化が可能で、国産の取引単価が高いことなどが利点。現在の栽培面積は、少なくとも3万5千平方メートルまで広がっているという。
祖父から継いだ茶畑から転作
 富士市北西部の岩本地区では、元JA職員の望月綾さん(45)がレモン栽培に奮闘中。約5年前、祖父から受け継いだ茶畑を整地し、80本のレモンの木を植えた。現在は約4千平方メートルの畑に、8品種約180本の木が並ぶ。果汁が多く酸味が少ない加工品向けの品種がほとんどで、有機栽培にこだわっている。
 24年12月に初出荷。地元のパン屋「ベーカリーマルタ」(同市)やジェラート販売店「DOI FARM」(富士宮市)と連携した商品は、販売直後から好評を集めた。今後は加工品の製造施設を造ったり、収穫体験ができる観光農園を整備したりする予定。「レモンで地元を活性化したい」と意気込む。
産地の維持や所得向上
 同JAは今秋、新たなレモンブランドを発表し、販売を始める予定。高齢化や後継者不足が地域課題になる中、栽培しやすいレモンは産地の維持や所得向上につながると期待する。
 同JA営農課の浅田宏係長(41)は「PR活動を通じて県東部のレモンの魅力をまず地元住民に知ってもらい、広く愛される特産品になったら」と願う。
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