不妊治療支援やキャリアアップ…女性もっと働きやすく 持続可能な経営へ 静岡県内企業で環境整…

2025/05/25 09:45 

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 女性従業員の活躍を後押しする動きが静岡県内企業で広がっている。今国会で女性活躍推進法改正案が提出されたほか、今年は団塊世代が全て75歳以上となり、幅広い業界で人手不足の深刻化が懸念される。各事業者は持続可能な経営に向けて、福利厚生制度の充実や管理職育成など多様な策を打ち出し、女性社員が働きやすく成長を実感できる職場づくりに取り組む。
■妊娠出産を経て「今後もここで働きたい」
 発泡スチロール製品製造の松浦スチロール工業所(吉田町)は、不妊治療の支援制度を2021年に導入した。最大20日間の特別休暇を取得できる。有給休暇を利用して不妊治療に励んでいたが、取得日数の上限に達した女性社員(28)がいたことが契機だった。人材確保が困難な中、正社員の4割が30歳以下の同社では今後も必要な制度と判断して取り入れた。
 女性は妊娠出産を経て現在も会社に在籍していて「治療に専念でき、理解ある同僚のおかげで復帰も円滑だった。今後もここで働き続けたい」と感謝する。別の社員も制度を活用し、今秋にも出産予定という。
 同社の24年の5年以内離職率は17・6%で、19年比で22・4ポイント改善した。松浦令和社長は「貴重な戦力に長く勤めてもらうために、現場の希望をできる限り取り入れたい」と職場環境の継続的な充実を検討する。
■経営者目線養う機会を
 三島信用金庫は女性職員の職域拡大に注力する。座学や他信金との交流を通じて知識と経験を培い、管理職へのキャリアアップを後押しする。24年の女性管理職比率は11年比13・6倍の16・4%に伸長した。
 5月には部課長や支店長の女性幹部6人を対象に、経営者目線を学ぶ新たな研修を始めた。初回はプレゼンテーションの手法やマーケティングを外部講師から学んだ。人づくり課の井沢ゆかり課長は「性別に縛られず経営者目線を持って業務に生かし、組織の持続的発展と地域社会への還元につなげたい」と強調する。
■制服に工夫、ストレス軽減
 女性社員の増加を受け、日常業務をより快適に進めてもらおうとする動きも。沼津市に生産拠点を置く明電舎(東京都)は1月、グループの作業着を35年ぶりに刷新した。袖のボタンを増やして細身の腕にもフィットしやすくしたり、かがんだ時に背中が見えにくくなるよう着丈を長くしたりするなど改善し、性別に関係なく着用しやすい設計とした。担当者は「今後も誰もが働きがいのある職場環境の実現を図っていく」と話す。
女性活躍推進法 女性が個性と能力を十分に発揮できる社会を実現するため、女性の活躍推進に関して、国、地方公共団体、民間事業主の責務などを定めた法律。今国会に出された改正案は26年3月としていた法の期限を10年間延長したほか、基本原則に女性の健康上の課題に対する配慮を明記した。同年4月から従業員101人以上の企業に対して管理職に占める女性比率の公表を義務化し、男女の賃金格差の公表義務も対象企業を301人以上から101人以上に拡大することを盛り込んだ。
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