松崎と西伊豆、中学統合「2町で1校」検討 少子化加速で、静岡県内初事例か 場所と時期未定

2025/05/21 07:27 

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 少子化が顕著な伊豆半島南部の松崎町と西伊豆町は20日までに、将来的に2町で1校の中学を設立する方向で調整に入った。実現すれば2町で学校組合立の中学を運営することになる。両町の中学は既にそれぞれの町内で1校ずつしかない。関係者によると、複数自治体で中学1校となれば、静岡県内で初のケースになるとみられる。
 松崎町の平馬誠二教育長が同日の定例記者会見で明らかにした。立地場所と統合時期は現時点で未定としている。松崎町の2025年度の中学生は95人、西伊豆町は97人。年々減少が続く。松崎町によると、現時点では松崎中校舎か西伊豆中校舎を活用するか、松崎高(松崎町)の校舎に組合立中が入居する場合を想定。同高敷地内に校舎を新整備する可能性もあるという。
 西伊豆中は生徒の多くがバス通学、松崎中は校舎が津波浸水域に立地するといった課題を現時点で抱えている。既に両町の議員に対し町が構想を示したが、平馬教育長は「おおむね賛成で反対意見はなかった」としている。
 今回の議論は中学の事実上の統合に関する内容だが、深沢準弥松崎町長は「将来的には小学校の組合立も視野に入れる必要がある」と含みを持たせた。
 西伊豆町の星野浄晋町長も同日の会見で組合立中学校に言及。「(整備が)完全に決まったわけではない。場所についても何も決まっていない」と強調。その上で「ノーリスク(の選択肢)はない。新たな校舎に移動するなら津波の浸水区域外であることも重要だ」との見解を示した。
 県教委によると、県内では御前崎中と牧之原中の2校が複数自治体による組合立。ただ両校が立地する牧之原市教委によると、それぞれ組合設立が1950〜60年代である点を踏まえ、「おそらく少子化が学校の設立要因ではない」(担当者)とみられる。

賀茂地区 学校再編進む
 松崎町と西伊豆町を含む賀茂地区では小中学校の統合が進むとともに、小中学校と高校の校舎一体化や県教委による高校の将来的な「サテライト制」導入など、近年少子化対策が進む。一方で西伊豆町では出生数が県内でも例のない低水準にとどまるなど、先行きは見通せない。
 県立高校と町立学校の施設一体化を目指しているのは東伊豆町。町立幼稚園や小中学校と県立稲取高による施設の一体化により、独自の教育プログラム展開や校舎の更新費用削減へつなげるとしている。
 県教委も賀茂地域の高校4校(分校含む)について、複数校舎を活用し1校として機能させる「サテライト制」を導入する方針。この中には松崎高も含まれていて、2町の組合立中学の立地議論がサテライト制に何らかの影響を与える可能性はある。
 西伊豆町によると、2024年度の出生数は5人だった。静岡新聞社の取材によると、県内自治体で史上最少だった可能性がある。星野浄晋町長は20日の定例記者会見で「(出生数から)12年後を考慮して物事を判断していく必要がある」と述べた。
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