「マイナ救急」実証事業開始へ 静岡県内全16消防本部 カードで病歴、処方薬有無など確認 搬…

2025/05/08 07:53 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
 救急車などで患者を運ぶ際、健康保険証の利用登録済みのマイナンバーカード(マイナ保険証)から患者の病歴や処方薬の有無などを確認する「マイナ救急」の実証事業が本年度、静岡県内全16消防本部で実施される。搬送の円滑化や適切な応急措置が期待される一方、取り組みの周知が課題になりそうだ。

 事業では現場に到着した救急隊員が患者の同意を得た上でマイナ保険証を受け取り、カードリーダーを接続したタブレット端末で登録されている氏名や医療機関の受診歴、処方された薬剤などの情報を閲覧する。
 救急患者は症状を適切に説明できなかったり、既往症、服用中の薬を正確に覚えていなかったりするケースも多い。マイナ保険証の情報を参考にすることで、救急隊が必要な措置を判断しやすくなるほか、搬送先病院の選定や病院側の治療準備に要する時間の短縮などのメリットがある。事業は静岡、浜松両市の消防局、磐田市消防本部で今月12日に開始。他の消防本部も年度内に実施予定。
 県内では2024年度に静岡、浜松、磐田が先行して実証事業を行った。静岡市消防局によると、実施した24年8月23日から10月22日までの2カ月間で、マイナ救急を活用したのは477件。みぞおち付近の痛みを訴えた患者の脈が遅かったため、マイナ保険証の情報を基に救急車で心電図検査をして、医療機関への情報提供につなげた事例などがあったという。
 ただ、同消防局でのマイナ救急活用件数は救急出動件数全体の約6%にとどまった。一段の普及には、マイナカードの携行率向上や制度の啓発が欠かせない。同消防局救急課の担当者は「自身の命を守るためにも、日頃からマイナ保険証の携行をお願いしたい」と話している。
静岡新聞

静岡ニュース

静岡ニュース一覧>

注目の情報