袴田さんの写真「返して」 静岡県警 持ち帰ったまま半世紀超 静岡市清水区の旧友・渡辺さん

2025/01/09 08:30 

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 現在の静岡市清水区で1966年にみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、静岡地裁のやり直しの裁判(再審)で無罪となった袴田巌さん(88)と家族ぐるみで親しかった渡辺昭子さん(90)=同区=が、事件直後に静岡県警の捜査員がアルバムからはがして持ち去った写真の返却を望んでいる。「1日でも早く返してもらい、袴田さんに見せてあげたい」と願う。
 渡辺さんの亡き夫蓮昭さんは、袴田さんがみそ会社に勤める前の同僚だった。渡辺夫妻と袴田さんは同じ寮で暮らし、一緒に過ごす時間も長かった。近くの三保や袖師の海岸で海水浴をしたり、遊園地に出かけたりと楽しい思い出は多い。
 渡辺さんによると、事件から数日後、清水署員がアルバムから袴田さんが写った10〜15枚をはがし、持って帰った。その際、署員は「犯人は袴田に違いない」と決めつけたかのように言い放ったという。夫妻は無実を信じて疑わず、アルバムも大切に保管してきた。
 渡辺さんは2024年5月、所在不明となったままの写真を返してほしいと静岡地検に申し出た。同12月下旬、地検から「話があるので来てほしい」と連絡が入った。「写真は見つかったのか」と尋ねると、「来てから話す」と濁された。年明けの8日、長男秀昭さん(63)に車椅子を押してもらい、地検に出向いた。
 再審公判を担当した検察官らが対応。写真の行方について「調査中」と答え、アルバムや写真をはがした跡などをメジャーで測るなどした。検察官は「こちらも探す義務がある」とも話したというが、秀昭さんは「まだこんな感じなのか、と。調査はそんなに進んでいないのでは」と語る。
 袴田さんとの再会は果たすことができた渡辺さん。「とにかく写真を返してもらいたい。写真があったのかなかったのかの連絡も早くしてほしい」と求める。
静岡新聞

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