茨城・石岡市長が議会に解散通知 6年続く「対立」清算狙う
茨城県石岡市議会への不適切な発言があったとして不信任決議を受けた谷島洋司市長(63)は27日、議会に解散を通知した。市役所で臨時記者会見を開き「長年にわたる市政への『拒絶体制』を打破し、市を前に進めるため解散という苦渋の決断をした。市議選で複合文化施設への反対派が多数を占めれば事業をやめ、自身の進退も考える」と述べた。市議選(定数22)の日程は今後決まるが、4月26日か5月3日投開票の2案が有力視されている。【鈴木美穂】
不信任決議は19日に緊急動議で出され、賛成13人、反対3人で可決。不信任の直接の引き金は市長が2月、市政懇談会で「議会は嫌がらせ」「市長不信任案が出たら議会解散」との発言だ。これを議会が問題視し、市長は3月に「誤解を与える不適切な発言だった」と陳謝したが、収まらなかった。
市長と議会の対立は2020年の市長就任後から2期6年にわたり続いてきた。複合文化施設整備を巡る攻防で激化した。
20年3月に閉館した市民会館に代わり、新たな施設を検討してきた市は22年7月、議会に基本計画案を提出。しかし、建設地を「JR石岡駅東側」とする市長の方針に議会側が「地盤の軟弱性」などを理由に反対した。一方、議会は地盤調査のボーリング費について「議論が尽くされていない」などと否決し、地盤調査も許さなかった。
24年の市長選で建設地が争点となり「駅東案」を掲げた谷島市長が再選。しかし、議会は「地盤の安全性への懸念」を理由に再び反対した。議会の声などを受け、市は「西側」に転じたが、議会は「一貫性がない」などと拒絶。24年12月には「市政の停滞」を理由に市長への辞職勧告を決議するなど、議会が市長に「ノー」を突きつける事態が常態化した。市職員による相次ぐ不祥事への対応も双方の溝を深めた。
谷島市長は会見で「議員一人一人と誠実に向き合ってきたが、結果として受け入れられなかった。不信任決議は正当な理由がない」とし、「(市議選で)議会改革を促し、健全な議会との車の両輪を目指す」と語った。市長失職を避けた理由を「副市長がいない中、1カ月以上の政治空白を生む」とし、年度初めの公務遂行などを挙げた。一方、村上泰道議長は「市民に影響がない判断なのか疑問だ」と批判した。
市長派の前職は3人で、谷島市長は「新人3~4人が出馬の意向」と明かし、支援する考えを示した。ただ、選挙後の議会で3分の2以上が出席し、過半数の同意で不信任決議が再び可決されれば市長は失職する。
◇解説
◇「密室」議場に監視の目を
石岡市議会から不信任決議を突きつけられた谷島洋司市長は、自らの失職ではなく議会解散を選択した。市長就任から2期6年にわたり続いてきた怨嗟(えんさ)ともいえる対立関係を清算することが狙いだ。
今回の騒動は、市長と議会の激しい対立関係を有権者に広く知らしめた。議会は市長のチェック機能を果たす役割があるものの、議場では以前から、反市長派の一部議員が罵声を浴びせたり、市長の人格を否定したりするような発言を公然と繰り返してきた。
市議会基本条例では議員の活動原則の一つに「市民の代表として、高い倫理観を持ち、品位の保持に努める」とある。市長と市議は共に選挙で市民の負託を受けた存在で、丁々発止の議論のさなかでも敬意を持つことが不可欠だ。議会は市長への不信任決議で「議会との信頼関係を築く姿勢が著しく欠けている」と指弾したが、そうした姿勢が議会側にもあったのか、自問すべきだ。
議会は本来、市民の誰にも開かれたオープンな場だ。しかし傍聴は一部関係者らにとどまり、議場は実質「密室」と化している。
不信任決議が出発点である以上、市議選は事実上、市長への信任投票となる。市民からは「これまでの選挙では親戚に頼まれたり、ご近所さんを投票したりしてきたが、政策や人柄も吟味したい」との声も聞かれる。有権者が監視の目を持つことの大切さを今回の出来事は示している。【鈴木美穂】
◇石岡市の谷島市長と議会を巡る主な出来事
▼2020年
4月 市長選で谷島洋司氏が初当選
▼2022年
9月 議会が複合文化施設整備の関連予算案を否決
▼2024年
4月 市長選で谷島氏が「複合文化施設のJR石岡駅東側での整備」を掲げ再選
9月 議会が、複合文化施設の石岡駅東側での整備に反対する決議案を可決
11月 市長が複合文化施設の建設予定地を石岡駅西側に変更すると表明
12月 議会が市長に対する辞職勧告決議案を可決
▼2025年
2月 議会が2度目の市長に対する辞職勧告決議案を可決
9月 議員提案による市長らの給与減額議案を議会が可決
▼2026年
2月20日 市長が市政懇談で「不信任案を出されたら議会解散」などと発言
3月6日 発言を巡り市長が議会側に謝罪
3月19日 議会が市長への不信任決議案を可決
3月27日 議会解散
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