自衛隊のクマ捕獲支援、11月末で終了 防衛相「ニーズに応えた」

2025/11/28 11:10 

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 クマによる人身被害が深刻な秋田県で捕獲支援活動中の陸上自衛隊について、小泉進次郎防衛相は28日、当初の想定通り今月末に現地での活動を終了すると明らかにした。

 小泉氏は閣議後の記者会見で「自衛隊の本来任務は国防であり、無制限にクマ対策を実施できないとの前提の下、当初から限られた期間で役割をまっとうすべく活動してきた。各自治体のニーズにお応えしたことから、漫然と期間を延長せず、活動を終了することとした」と述べた。

 陸自の派遣は秋田県の鈴木健太知事が小泉氏に要望。陸自は5日、県と協力協定を締結し、秋田駐屯地(秋田市)の第21普通科連隊を派遣した。協定に基づく派遣期間は30日までとし、延長については状況を踏まえて調整するとしていた。

 陸自によると、27日までに隊員延べ815人が活動。重さ200キロとされる箱わな137基と駆除したクマ9頭を運搬したほか、クマを埋めるための穴の掘削も1件行った。活動地域は鹿角市や大館市、由利本荘市、八峰町、東成瀬村など県内11市町村に及んだ。

 隊員は地元猟友会のメンバーと行動を共にする一方、銃器は携行せず、鉄帽に防弾チョッキ、クマ撃退用スプレーといった「軽装」だったため安全性を懸念する声も上がったが、クマと遭遇する場面はなかったという。

 小泉氏は会見で、自治体との緊密な連携や地元猟友会の助言を受けて隊員の安全対策を図ったなどと説明。「十分な準備の下で活動に臨み、特段の課題が生じることもなく無事に活動を終了できる見込みだ」とも述べた。

 クマ対策を巡っては、政府が取りまとめた被害対策パッケージに、自衛隊や警察の退職者に狩猟免許の取得を促し、駆除への協力を要請することが盛り込まれた。小泉氏はこれを踏まえ「自衛隊OBに対する情報提供などを通じて狩猟者の確保にも協力していければと思っている」とした。【松浦吉剛】

毎日新聞

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