減税か給付か 参院選争点に AIが導いた、経済対策の「正解」
20日投開票の参院選で、各党の物価高対策が大きな争点となっている。自民党は全国民を対象に一律2万円の給付を提案。対する野党は、消費税の廃止や減税を掲げる。
第一生命経済研究所は、人工知能(AI)を使い、四つのシナリオで経済効果とリスクを予測した。AIが示した経済政策の「正解」とは――。
◇4パターンでAIが分析
研究所の柏村祐・主席研究員は、①全国民への一律2万円給付(低所得世帯には2万円追加)②食料品の消費税廃止と一律2万円給付③食料品の消費税廃止④時限的に消費税率を5%へ引き下げ――の4パターンに分け、AIで経済効果を予測した。
具体的な政党名は設定していないが、①は自民党、②は立憲民主党、③は日本維新の会、④は国民民主党の公約に、それぞれ近い。
AIには、国内総生産(GDP)や消費者物価指数などのデータに加え、過去の経済対策による消費行動の変化や、交流サイト(SNS)から抽出した政策への賛否も学習させた。
◇消費減税は「両刃の剣」
その結果、AIはそれぞれの政策が選ばれる可能性について、①は40%、②は25%、③が20%、④が15%と分析した。
①に関しては、GDPを0・2%押し上げる効果があると予測する。給付金は即効性が高く、生活の下支えにも効果があるとした。財政負担は約2・8兆円に抑えられる半面、経済効果は限定的だ。給付の約3割は貯蓄に回り、効果の持続性も低い。「選挙前の人気取り」といった国民の冷めた反応も予想される。
②は、消費マインドを複合的に刺激し、GDPを0・5%押し上げると予測。食費の割合が高い低所得層ほど、恩恵が大きくなる。財政負担は約7兆円に上り、増税や国債の追加発行などで次世代へのしわ寄せが予想される。
③では、約0・3%のGDP押し上げ効果が見込まれる。AIは、日ごろの買い物で効果を実感しやすく、国民の支持を得やすいと評価した。物価高の影響が大きい子育て世帯や収入が少ない家庭の生活を支え、ほぼ全額が消費に回る。ただ効果は食料品に限定され、財政負担は約4・5兆円になる。
最も経済効果が期待できるのは④で、0・7%のGDP押し上げ効果があると試算した。衣食住に関わるほぼすべての価格が下がり、強力に消費を呼び起こす。しかし年間約15兆円もの税収減が見込まれ、社会保障制度へのしわ寄せや国債の信用低下、将来的に極端なインフレも引き起こしかねない「両刃の剣」と分析した。
◇「最後の判断は人間」
AIは、どのシナリオにも経済効果とリスクがあることを示した。
柏村氏は「選挙目当てに聞こえの良い政策を並べるのではなく、AIが示すようなデータに基づいて政策のメリットとデメリットを説明する姿勢が不可欠だ」とした上で、「この結果を参考に、最後は人間が判断してほしい」と話した。【木村敦彦】
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