現金給付、手放しで喜べず 一人親世帯「目先のことだけでなく…」

2025/07/03 15:09 

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 参院選が公示され、20日の投開票まで17日間の選挙戦が始まった。物価高が焦点となるなか、一人親世帯は政治に何を求めるのか。

 「何をするにも物価が高くて……」。6月下旬、福岡市早良区の「原四つ角子ども食堂」を訪れた女性(40)は、小学6年の長女(11)がカレーライスをおいしそうにほおばるのを見守り、深いため息をついた。

 保育園児と小学生の3人を育てるシングルマザー。乳酸菌飲料を配達する仕事で何とか生計を立てているが、子ども食堂で提供される野菜や即席麺などの食料を生活の足しにしており、「これで生活が回るので本当に助かります」と話す。

 子どもの同級生たちがスポーツや学習塾などの習い事を次々に始める中、子どもがやりたい習い事をさせてあげられず、申し訳なさを感じているという。「お母さんには休んでほしい。仕事が忙しすぎて、休みの日にはぐったりしている時もあるから」。長女はそう言って母親を思いやる。

 参院選で与党は2万~4万円の現金給付の公約を打ち出した。ただ、女性は子どもたちの将来を考えると手放しでは喜べない。「もらえるのはうれしいけれど、目先のことだけでなく、先のことも考えてほしい」

 子ども食堂は年々増加している。認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(東京都)の調査によると、2024年度の全国の子ども食堂は前年度から1735カ所増えて1万867カ所となり、全国の公立中学校数を上回った。年間の延べ参加人数は24年度の推計で1885万人(大人含む)で子ども食堂数とともに過去最多だ。

 「苦しい人がさらに苦しくなっている」と話すのは、原四つ角子ども食堂の運営法人代表、稲員諒翔(いなかずりょうと)さん(35)。利用者からは「久しぶりにたくさんお米を食べられた」との声も聞くといい、「大事なのは施策が子どもたちにきちんと届くこと。子どもたちがおなかいっぱい食べられる国にしてほしい」と訴える。【山口響】

毎日新聞

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