政府・与党、予算案の「国会修正」で最終調整 1996年以来、5回目

2025/02/13 18:04 

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 政府・与党は、2025年度予算案の成立に向け、与野党協議を通じて予算を修正する「国会修正」に応じる最終調整に入った。政府が予算案を撤回し、出し直す「政府修正」は見送る方向だ。複数の政府・与党関係者が13日、明らかにした。当初予算が国会で修正されるのは1996年の橋本龍太郎内閣以来29年ぶり、5回目。過去4例では、一般会計の歳出総額が増加した例はない。

 憲法86条は内閣の予算提案権を規定しており、政府見解は、国会の予算修正について「内閣の予算提案権を損なわない範囲において可能」としている。国会修正には限度があるとされ、総額の増額修正の有無など修正規模が焦点となる。

 衆院は少数与党のため、予算通過には野党の一部の賛成が必須となる。予算修正を巡っては、国民民主党が、所得税がかかり始める「年収103万円の壁」の引き上げを巡り、政府・与党が示した123万円からの更なる引き上げを要求。国民民主が掲げる178万円にどこまで近づけるかが焦点となっている。日本維新の会は、当初予算案に賛成する条件として、高校授業料の無償化や社会保障改革を挙げており、自公との3党協議が山場を迎えている。

 一方、立憲民主党は、複数年度にわたる事業を対象とする基金など予算の「無駄」について、大幅な削減を要求。確保した財源を基に学校給食の無償化や私立を含む高校授業料の無償化などを求めている。

 与党内には、当初予算案に盛り込んだ予備費1兆円のうち、5000億円程度を野党要求の施策に充てる案も浮上している。予備費の活用や予算削減により捻出した財源で、野党が要求する施策をどこまで盛り込めるかが焦点となる。

 政府修正が見送られる方向となったのは、新たな予算案提出に1週間程度がかかるとされ、審議日程への影響が大きいためだ。大幅な予算修正が可能となる一方で、修正の承諾を得るために本会議の議決が必要となる。再提出後にも、本会議での趣旨説明や委員会審議など追加の日程が積み重なるリスクがあった。年度内の予算成立を確実にするには3月2日までに衆院を通過する必要があり、自民幹部は「時間がかかり過ぎて厳しい」と語った。

 国会修正には、ギリギリまで政党間の修正協議に充てられる利点がある。維新の前原誠司共同代表は12日の党会合で「来週の中ごろには予算の賛否を決めなくてはいけない」と述べ、19日前後が修正協議の山場となるとの見方を示した。立憲民主党幹部は「2月の最終週には、立憲の修正案と政府案を並行審議することになるだろう」との見通しを明かした。【森口沙織、池田直、高橋祐貴】

毎日新聞

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