洪水で逆転 引退間近だったタイの旧型バス「見捨てません」

2026/10/06 18:43 

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 タイの首都バンコクで、35年にわたって走ってきた赤とクリーム色の旧型バスが、新たな役割を担うことになった。

 まもなく電気自動車(EV)への置き換えで、通常の路線運行から退く。ところが9月末の洪水では、冠水した道路を走って乗客を運び、その頑丈さが注目を集めた。

 市民からも保存を求める声があり、バンコク大量輸送公社(BMTA)は、災害時などの予備車として残す方針を打ち出した。キッティカーン局長はフェイスブックに「私たちの『赤クリームバス』(赤バス)を見捨てません」と書き込んだ。

 赤バスは1991年に導入が始まった。現在も約1500台が走り、日野、いすゞ、三菱ふそうの車両が使われている。

 高架鉄道や地下鉄の路線網が広がる一方、赤バスは通常運賃8バーツ(約38円)と安く、「庶民の足」として走り続けてきた。

 ただ、老朽化への不満も少なくない。エアコンがなく、「暑いバス」とも呼ばれる。黒煙を出す車両もあり、排ガスは長年の課題だったが、財政難などから車両更新が遅れてきた。

 ◇35年選手を「ハンサムなおじいちゃん」に

 今回の洪水では、床面が低いバスやエアコン車を水の浅い路線に回す一方、冠水の深い地域には赤バスを走らせた。避難所まで住民を無料で運ぶ臨時便にも赤バスを使った。

 水深80センチ程度までなら走れ、非常時には現場で給油して運行を続けられるという。「こうした耐久性は、最新のシステムでもなかなか代わりがきかない」とキッティカーン氏。状態の良い車両約700台をオーバーホールし、エンジンや排気系統も環境基準に適合させる方針だ。

 長年、街を走ってきた赤バスは、路線を退いた後も別の形で生かされることになりそうだ。キッティカーン氏は、そうした車両を「丈夫で落ち着いた、ハンサムなおじいちゃん」にしたいという。【バンコク小泉大士】

毎日新聞

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