米、台湾問題を優先せず 中国はトランプ氏取り込みに重点 識者分析

2025/10/30 19:50 

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 トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は30日、韓国南部釜山で会談した。対面での米中首脳会談は、1月の第2次トランプ政権発足後初めて。

 ◇李昊・東京大准教授(中国政治外交)

 トランプ氏と習氏の6年ぶりの対面会談は双方にとって比較的前向きな結果になったといえる。

 貿易問題や安全保障で対立が続く中、会談では、習政権が「核心的利益の中の核心」と位置づける台湾問題は議論されなかった。両国にとってデリケートなテーマは避けたという評価以前に、トランプ氏にとって台湾問題は政策の優先順位として低い印象を受ける。

 トランプ政権下にはルビオ国務長官ら「対中強硬派」がいるものの、中国側は米政権を相手にするというより、トランプ氏個人をどう取り込むかに重点を置いている。今回の会談自体も、中国の希土類(レアアース)の輸出規制や、米国産大豆の輸入制限など米国に対する交渉カードは多く、元々優位な立場だった。

 その意味で、トランプ氏に一定の「取引(ディール)」を実現させ、対立緩和へ前向きな姿勢を演出する方が、台湾問題に言及して緊張を招くよりはるかに合理的だったのだろう。

 ただ、会談での習氏の表情には緊張感が漂っており、中国国営メディアも「米中の協力が大切だ」と盛んにアピールした。それを踏まえると、実態は依然として緊張関係にあり、予断は許さない。【聞き手・飯田憲】

毎日新聞

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