トランプ氏「大問題になる可能性」 相次ぐロシアのNATO領空侵犯

2025/09/20 12:23 

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 バルト3国のエストニア政府は19日、ロシアのミグ31戦闘機3機が12分間にわたり領空を侵犯したと発表した。北大西洋条約機構(NATO)は、加盟国のエストニアに駐留するイタリア軍のF35戦闘機を緊急発進させた。スウェーデンとフィンランドの軍用機も出動した。

 NATO加盟国では今月9日以降、ポーランドとルーマニアでもロシアの無人機による領空侵犯があったばかり。欧州では、ロシアがNATOの対応力を試そうとしているとの見方が強く、今回の領空侵犯も同様の目的だった可能性がある。トランプ米大統領は19日、ホワイトハウスで記者団に「この事態は好ましくない。大きな問題になる可能性がある」と述べた。

 エストニアはロシアに隣接する。エストニア外務省によると、ロシアによる領空侵犯は今年4回目。同省は19日、ロシアの臨時代理大使を呼び出し、抗議した。

 ツアフクナ外相は声明で、領空侵犯を「前例のないほど厚かましい」と非難し、「国境を試す行為を拡大し、攻撃性を増大させているロシアに対し、政治的・経済的圧力を早急に強化しなければならない」と訴えた。

 NATOは、イタリア機などの緊急発進は、ポーランドに対する領空侵犯後に発動した欧州東部の防衛強化策「東部歩哨」作戦による対応だと説明した。

 ロイター通信によると、NATOは北大西洋条約第4条に基づくエストニアの要請を受け、来週初めに会合を開く。同4条は、加盟国が安全や領土保全が脅かされていると判断した場合に協議すると定めている。

 エストニア前首相でもある欧州連合(EU)のカラス外務・安全保障政策上級代表(外相に相当)はX(ツイッター)で、今回の領空侵犯を「極めて危険な挑発だ」と批判。「プーチン(露大統領)は西側の決意を試している。我々は弱さを見せてはならない」と述べた。【ロンドン福永方人、ワシントン松井聡】

毎日新聞

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