韓国政府は４日、新潟県佐渡市で今月予定されている世界文化遺産「佐渡島（　さど　）の金山」の労働者追悼式を今年も欠席すると決め、日本側に通知した。

　日本は今年の式典を今月１３日に開く意向を韓国側に打診している。韓国政府関係者は４日、「韓国人の労働の強制性を、追悼の辞で具体的にどう表現するかについて接点が見いだせなかった」と説明。独自の式典を開催する予定だという。

　林芳正官房長官は４日の記者会見で、韓国政府の追悼式不参加方針について「主催者である地元と連携しつつ、韓国政府とも緊密に意思疎通を行ってきたが、今回の韓国側の決定については説明する立場にはなく、コメントすることは控えたい」と述べるにとどめた。

　韓国は２０２４年７月の世界遺産登録を前に、金山で朝鮮半島出身者の強制労働があったと問題視した。追悼式を毎年開くことで日本と合意し、登録を受け入れた。この際、朝鮮半島出身労働者に関する歴史を含む「全体の歴史」を現地の展示に反映することで日韓が大筋合意していた。

　だが、展示で「強制労働」の言葉がないことなどに韓国で批判が噴出。韓国側は２４年１１月に開催された初の追悼式を欠席した。当時、日韓で事前協議した追悼の辞の内容などが「（日本と）合意した水準に満たない」と説明した。日本の追悼式の翌日、金山の労働者の遺族らを招いて独自の追悼式を開催した。【福岡静哉（ソウル）、竹内望】