中国、停戦合意を評価も複雑 「同志」イラン弱体化で戦略練り直しも
イランとイスラエルの「停戦合意」をトランプ米大統領が発表したことについて、中国外務省の郭嘉昆副報道局長は24日の記者会見で「中国は中東情勢を注視し、緊張のエスカレートを望んでいない。できるだけ早く停戦が実現するよう希望している」と評価した。
世界的に重要な資源供給地である中東情勢の不安定化は、中国も望んでいない。ただ、米国に対抗して関係を深めてきたイランが弱体化すれば、中東戦略の練り直しを迫られる複雑な立場でもある。
これまで中国政府はイスラエルや米国によるイランへの攻撃を「国際法違反」と厳しく非難してきた。王毅外相は23日、「対話ではなく武力で解決しようとする悪質な前例」と主張。トランプ政権の横暴ぶりを強調し、国際世論を味方に付ける戦略を取った。
習近平指導部にとって、イランは中東地域における貴重な「対米共闘」の同志国だ。両国は2021年、25年間の包括的戦略パートナーシップ協定を締結。資源開発やインフラ建設などを拡大し、安全保障面でもロシアを加えて軍事演習を重ねてきた。
今回の武力衝突が泥沼化し、イランの経済基盤が破壊され、その政治体制が動揺すれば、こうした投資が無駄になる恐れがあった。
一方で、停戦が実現してもイランの国力が大打撃を受けたことに変わりはなく、中国の中東戦略に誤算が生じている。米国の圧倒的な軍事力に、イランが窮地に立たされながら、中国が受け身に回るしかなかった現実も重い。
さらに、今回の事態で資源供給を特定地域に依存するリスクも改めて浮き彫りになった。中国は原油輸入の50%超を中東に頼るとされる。日本よりも依存度は低いが影響は小さくない。
国内専門誌「中国石油石化」の分析記事は「中国は毎年、原油輸入全体の10%をイランから輸入している」と指摘。中国税関当局の統計に、米国による制裁下にあるイランの数字は出てこない。しかし、24年の中国の原油輸入額の上位国として、ロシア、サウジアラビアに次ぐマレーシアは国内産出量をはるかに上回る規模を中国に輸出したことになっており、その大半が積み替えられたイラン産原油とみられている。
中国は、米国との長期的な競争をにらみ安全保障に関わる資源や食料の供給源の多角化を図ってきた。今回の衝突を契機に、原油についてもロシアや中南米、アフリカなど中東以外からの輸入を増やす可能性がある。【北京・河津啓介】
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