イランとイスラエルの戦闘が終結したことを受け、イランの最高指導者ハメネイ師は２６日、ビデオ声明を出し、「偽りのシオニスト政権（イスラエル）に対する勝利を祝福する」と国民をたたえた。イランメディアが報じた。ハメネイ師が停戦後、公にメッセージを出したのは初めて。

　ハメネイ師は声明で、イスラエルは「イランの攻撃でほぼ崩壊した」と主張。さらに「米国が参戦したのは、イスラエルが完全に崩壊すると感じたからだ。だが、米国はこの戦争から得るものは何もなかった」と語り、米国に対する「勝利」も強調した。

　最高指導者は国家の重要案件について最終決定権を持つ。２４日に発表された停戦合意にもハメネイ師の意向が反映されたとみられていた。声明で「勝利」を祝ったことで、ハメネイ師が停戦を承諾していたことが明らかになった形だ。

　ハメネイ師は１８日のテレビ演説以降、１週間以上、公の場に姿を見せていなかった。このため、米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、イラン国営テレビにはハメネイ師の安否を気遣う視聴者の声が相次いで寄せられていた。

　ハメネイ師は、１３日にイスラエルとの戦闘が始まって以来、暗殺を警戒して身を隠していたとされる。ただ、ハメネイ師の「不在」が続く中、欧米との対話路線を模索する穏健派と、対決姿勢を崩さない保守強硬派との間で駆け引きが激化しているとも報じられていた。【カイロ金子淳】