離陸に苦戦か 通常よりも長い助走距離 インド機墜落から1週間
インド西部アーメダバードで空港を離陸直後に墜落したエア・インディア機について、離陸に通常よりも長い助走距離を要していた可能性が浮上している。2基のエンジンが同時に何らかのトラブルに見舞われて十分な推力を得られなかった疑いがあり、インドの航空当局が調査を進めている。
旅客機は12日、英ロンドンに向けて離陸した直後に高度約200メートルから降下し、空港の先約1・5キロにある医学生宿舎の食堂付近に激突した。乗客・乗員や地上にいた医学生ら約270人が犠牲になる大惨事となった。事故は19日で発生から1週間となる。
◇地元メディア「バックアップ装置が作動」
英タイムズ紙は15日、インド当局の話として、旅客機が離陸に苦労し、長さ3500メートルの滑走路をぎりぎりまで使用していたと報じた。これは気温や機体重量などを考慮して算出した必要距離よりも、明らかに長いという。
また地元メディアNDTVは17日、事故当時、旅客機で「ラムエアタービン(RAT)」と呼ばれる装置が作動していたと報じた。エンジン故障時に電力などを供給するバックアップ装置で、独特の動作音が確認されたという。
旅客機は通常、片方のエンジンだけでも飛行できる。今回は電気系統の不具合などにより、2基同時にトラブルに見舞われた可能性がある。ただ滑走路では火花や煙は確認されず、鳥の死骸も見つかっていないため、バードストライクの可能性は低いとみられるという。
現場では飛行データを記録した「ブラックボックス」に加え、15日には操縦室内の音声を記録した「ボイスレコーダー」が発見された。インド政府は調査委員会を設置し、16日に初会合を開催。3カ月以内に報告書をまとめるとしている。
◇機体トラブル相次ぐ
一方、エア・インディア社では12日以降、急な欠航や機体のトラブルが相次いでいる。
地元メディアによると、12日から17日夕にかけて計83便が欠航になり、うち66便が墜落機と同型のボーイング787だった。追加の安全点検に加え、一部ではイスラエルとイランの緊張激化に伴う空域規制も影響しているという。17日にはアーメダバード発ロンドン郊外ガトウィック行きの路線で出発直前に運休が決定。「空域規制と点検の結果、旅客機が利用できなくなった」としている。
◇急成長してきた業界
インドは経済成長に伴って航空業界も急速に発展してきた。英誌エコノミストによると、国内線利用者数は2019年の1億3760万人から24年は2億2800万人に急増した。国内路線は、24年3月には823路線となり、コロナ禍以前と比べ180近く増えた。
空港の整備や国際線の新規就航も進んでおり、インド政府は各地の空港を重要なハブ空港としたい狙いがある。今回の墜落は航空業界にとって大きな衝撃で、発展に冷や水を浴びせる可能性もある。【ニューデリー松本紫帆】
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