ガザへの物資搬入規制 EU、イスラエルに「人道違反の兆候」指摘

2025/06/21 11:19 

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 欧州連合(EU)の外務省にあたる欧州対外行動庁(EEAS)は、イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区への支援物資搬入を規制するなどして「人権尊重の義務に違反した兆候がある」と指摘する報告書をまとめた。ロイター通信などが20日、報じた。

 自由貿易推進などを目的にイスラエルと結んだ協定の規定に違反した懸念があるとみて、EUは加盟国の間で協定の見直しを含めて対応を協議する。

 報告書では、ガザでイスラム組織ハマスの掃討作戦を展開するイスラエルが「(生活)必需品の搬入や配給に厳しい制限をしている」と指摘し、病院などへの攻撃なども問題視した。ヨルダン川西岸のユダヤ人入植者の暴力にも触れた。

 イスラエルにとって、EUは最大の貿易相手だ。双方の間での協定は2000年に施行され、「(両者の関係は)人権の尊重に基づく」という規定がある。今年5月にオランダが、規定違反の疑いがあるとしてEEASに調査を依頼した。

 EUの外相にあたるカラス外務・安全保障政策上級代表は18日、欧州議会でイスラエルのガザでの行動について「自衛権の範囲を超えている」と批判していた。

 EU加盟国では、ナチス時代のユダヤ人虐殺への反省からドイツがイスラエルを強く支持する一方、ガザの人道危機の深刻化を受けてフランスなどは批判的な姿勢に転じ始めている。今後、加盟国間で協議し、協定内容を一部見直すなどして対イスラエル政策を硬化させる可能性がある。【ブリュッセル岡大介】

毎日新聞

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