イスラエルとイランは１８日も、互いにミサイル攻撃などの応酬を続けた。イスラエルを支援するトランプ米大統領は１７日、国家安全保障会議（ＮＳＣ）で対応を協議。複数の米メディアによると、米軍によるイランへの攻撃も選択肢に含まれる。トランプ氏は１７日にイスラエルのネタニヤフ首相とも電話で協議。ソーシャルメディアに「無条件降伏！」と投稿するなどイランへの威嚇を強めている。

　イスラエル軍は１７日、７０カ所を超えるイランの拠点を攻撃したと発表。大規模なサイバー攻撃を実施したとも報じられた。一方、イランメディアによると、イラン軍トップは１７日の演説で、これまでの報復攻撃は「抑止のための警告」で、真の「懲罰的な攻撃」はこれからだと強調した。

　トランプ氏は１７日午後にＮＳＣを招集。米ニュースサイト「アクシオス」によると、イラン中部フォルドゥにある地下核施設に対する攻撃に関して真剣に検討しているという。

　フォルドゥには地中深くに高濃縮ウランを製造する拠点がある。打撃を与えるには米軍が保有する地下貫通弾（バンカーバスター）が必要だとされ、イスラエル側が協力を求めている。

　トランプ氏は、１７日のソーシャルメディアへの投稿で「我々はイラン上空の制空権を完全に握った」と強調。イランの防空能力が無力化され、米軍の爆撃機による攻撃がいつでも可能だと示唆した。

　一方で、イランの最高指導者ハメネイ師について「隠れている場所は正確に分かっている。彼は簡単な標的だ」と主張。「少なくとも今のところは、彼を排除（殺害！）しない。しかし、民間人や（中東地域の）米兵にミサイルを撃ってほしくないと思っている。我々の忍耐は擦り減っている」と脅した。

　バンス副大統領も１７日のＸ（ツイッター）への投稿で「（トランプ氏が）イランのウラン濃縮を止めるため、さらなる対応をとる必要があると判断するかもしれない」と述べた。

　トランプ政権はイスラエルに情報提供を行うほか、イランからの攻撃に対する防衛を支援している。ただこれまでは交渉を通じてイランに国内でのウラン濃縮活動を放棄するよう求めており、米軍の軍事行動には慎重な姿勢を示してきた。仮に攻撃に踏み切れば、本格的に紛争に巻き込まれる可能性もあり、対応が焦点となっている。

　米軍による直接攻撃の是非に関しては、与党・共和党内でも主張が割れている。そもそもトランプ氏は「米国第一主義」を掲げ、他国への軍事介入に否定的な姿勢を示してきた。この考えは、トランプ氏を支持する「ＭＡＧＡ（マガ＝米国を再び偉大に）」派の中核をなす理念でもある。

　ＭＡＧＡ派の代表格であるマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員は１６日にＸへの投稿で「外国の戦争、介入、体制転換は最終的に我々を破滅に追い込む」などと主張し、米軍の紛争への直接的な関与に反対した。

　一方、トランプ氏に近く対イラン強硬派として知られるリンゼー・グラム上院議員は１７日の米ＦＯＸニュースのインタビューで、「イスラエルに必要な支援を提供することを願っている。イランの核開発計画を破壊できれば、歴史的な出来事になる」と語った。【ワシントン松井聡、カイロ金子淳】