インドとタリバン政権が急接近 「対パキスタン」で連携強化へ
カシミール地方の領有権を巡ってインドとパキスタンの緊張が続く中、インドが、アフガニスタンを支配するイスラム主義組織タリバン暫定政権に接近している。5月15日には双方の外相による初めての電話協議を実施。共に関係が悪化している隣国パキスタンをけん制する狙いがある。
「根拠のない報道を通じてインドとアフガニスタンの間に不信感を抱かせるような試みを、(タリバンが)断固として拒否したことを歓迎する」
インドのジャイシャンカル外相は、タリバン暫定政権のムッタキ外相との電話協議の後、X(ツイッター)にこう投稿し、印パの武力衝突を巡るタリバンの対応に謝意を示した。
印パは4月にカシミールで起きたテロ事件を巡り、5月7~10日ごろに武力衝突し、ミサイルや戦闘機での応酬となった。
タリバンは4月のテロ事件について「断固として非難する」とインドに配慮する姿勢を見せた。さらにパキスタンメディアが印パの戦闘でアフガンまでミサイルが飛来したと伝えると、即座に「真実ではない」と否定して混乱を回避しようとした。
15日の電話協議では、インドによるアフガン難民らへの人道支援の強化や、貿易の円滑化などが議題になったとされる。インドメディアによると、インド政府関係者は協議の後、タリバン暫定政権下でのアフガンとより強固な関係を築くために「必要なことは何でもする」と強調。関係進展に前向きな姿勢を見せた。
タリバン暫定政権を巡っては、2021年8月にアフガンを掌握して以降、抑圧的な統治などが懸念され、政権として承認する国は一つもない。インド政府としても直接的な関与には消極的なものの、水面下ではタリバン側と接触を図り関係構築を模索してきた。
一方、タリバンとパキスタンの関係については、これまでパキスタンがタリバンに一定の支援をしてきたとされるが、最近はパキスタンが国内のテロ事件を理由にアフガン領内に空爆するなど、両国の対立が深まっている。
インドのミスリ外務次官とタリバンのムッタキ氏は25年1月、ハイレベル会談を実施。タリバンはインドを「地域的かつ経済的なパートナー」と表現し、インドとの関係強化に関心を示した。
会談ではインドがイラン南東部で開発を支援するチャバハル港の利用促進についても協議した。インドにとっては、パキスタンを経由せずに内陸国のアフガンや中央アジアとの貿易ルートを確保するための重要な拠点とされる。
16年にイランとアフガニスタンを含めた3カ国で同港を経由した輸送ルートの構築に合意していたが、21年のタリバンの復権で対話が停滞していた。インドメディアによると、今回の外相による電話協議でもチャバハル港の利用について議題に上ったとされ、今後、同港を通じた輸送ルートを巡って、開発が加速する可能性もある。
インドとの関係について、タリバン幹部は毎日新聞の取材に「私たちは近隣諸国と正常な関係を築きたいと考えている。国をゼロから築き上げている今、あらゆる国からの投資を歓迎する」と述べた。【ニューデリー松本紫帆】
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