米露首脳が3度目の電話協議 ウクライナ停戦巡り、大きな進展なく
トランプ米大統領とロシアのプーチン大統領は19日、ウクライナ情勢を巡り、電話協議した。トランプ氏は協議後、ロシアとウクライナが停戦に向けた直接交渉をすぐに「開始」すると強調した。露側の発表によると、露・ウクライナ両国が将来の和平条約に関する覚書を作成することで、米側と一致したという。
ただ、プーチン氏は根本的には譲歩しない姿勢を改めて示し、米国などが求めていた即時の一時停戦も事実上受け入れなかった。停戦に向けた大きな進展はなかった模様で、ウクライナを支援する欧州諸国は追加制裁を科す構えだ。
両首脳の電話協議は第2次トランプ政権の発足後3度目で、3月以来となる。トランプ氏は自身のソーシャルメディアで、2時間に及んだ協議が「非常にうまくいった」と主張した。終了後、ウクライナのゼレンスキー大統領や欧州主要国の首脳らに内容を伝えた。
ドイツ政府は欧州のウクライナ支援国が、制裁によって対露圧力を強めることで一致したと明らかにした。ただ、トランプ氏はホワイトハウスで記者団に、米国による追加制裁については「事態を悪化させるかもしれない」と否定的に言及した。
トランプ氏は協議後の投稿で、ロシアとウクライナが「すぐに交渉を開始する」と説明したが、両国は16日にトルコ・イスタンブールで直接協議を実施している。トランプ氏の言及が新たな枠組みを指しているのかは不明だが、今後の停戦に向けた条件について「詳細は当事者しか分からない」と述べ、ロシアとウクライナの2国間で交渉が実施されると説明した。
米国はこれまで、双方に停戦案を提示するなど仲介に注力してきたが、関与が低下する可能性もある。
ゼレンスキー氏は19日、米露の電話協議を受けて記者会見し、ロシアとの新たな直接協議を検討していると述べた。「(閣僚級以上の)ハイレベルでの協議にしたい」と主張し、米国や欧州連合(EU)の代表も同席すべきだとの考えも示した。
トランプ氏はまた「ロシアは“流血の惨事”が終わった後、米国との大規模な貿易を望んでおり、私も同意する。ロシアにとって莫大(ばくだい)な雇用と富を創出する素晴らしい機会になる」と述べ、米露の経済関係の強化に意欲を示した。
一方、プーチン氏は協議後に報道陣の取材に応じた。トランプ氏との間で、ロシアがウクライナとともに将来的な和平条約に関する覚書を作成することで一致したと明らかにした。
プーチン氏はこの覚書に関して、問題解決の原則や和平合意締結の期限などを定めるものだと説明した。「適切な合意が成立した場合」の一時停戦の可能性を内容に含むとも述べた。
電話協議については、率直で充実したものだったと評価した。他方で「全体としてロシア側の立場は明確だ。我々にとって最も重要なのは、この危機の根本原因を除去することだ」と従来の主張を繰り返した。
ウシャコフ露大統領補佐官(外交担当)によると、停戦開始の期限については今回の協議では議論されなかったという。両首脳の電話協議後に報道陣の取材に答えた。
ウシャコフ氏は、トランプ氏が前向きな姿勢を示す米露首脳会談についても触れ「現時点で両首脳は実施について取り決めておらず、開催候補地も挙がっていない」と述べた。その上で、首脳会談の実施にあたっては「必要な前提条件を整えなければならない」と慎重な姿勢を示した。【ワシントン松井聡、モスクワ山衛守剛、ブリュッセル宮川裕章】
◇米露首脳の電話協議(19日)のポイント
・ウクライナを巡り、早期停戦で合意できず
・ロシアとウクライナは将来の和平条約に関する覚書を作成へ
・露側は「危機の根本原因除去が重要」と強硬姿勢変えず
・米露首脳会談の実施に関する合意なし
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