治安悪化に犯罪増も ミャンマー地震の被災地 公的支援機能せず

2025/04/27 13:00 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 ミャンマー中部を震源とする大地震の発生から28日で1カ月を迎える。復旧作業が遅々として進まず、被災地を離れる住民が相次いでいる。

 「街から人が減っている。(2021年の)クーデター後で一番の打撃だ」。中部マンダレー在住の自営業、サンユさん(45)は、毎日新聞の電話取材にこう話した。

 倒壊を免れた6階建てのアパートの1階で家族と暮らすが、同じ敷地内にある4棟の計100戸で住民が残るのは11戸だけ。地震前は国軍と民主派勢力などとの内戦が激しい地域から逃れてきた住民が多く暮らしていたが、連日の余震を恐れて避難したという。

 地震によって経済がまひした影響も大きい。物流の要衝にあるマンダレーは経済都市として発展してきたが、内戦で打撃を受けていたところに地震が起きた。

 軍事政権下で公的な融資や補助は期待できず、中小事業者の倒産や従業員の解雇が相次いでいるという。生活再建の糸口を見つけるのは難しく、サンユさんは「大勢の人が中産階級から滑り落ちてしまった」と話す。

 失業者の増加に比例するように治安は悪化し、倒壊した建物から金品を盗む犯罪も横行しているという。サンユさんも「部屋を売却してよそに移ることも考えている」と明かした。内戦による国内避難民は350万人を超えていたが、震災で少なくとも20万人が避難を余儀なくされたとみられる。【バンコク武内彩】

毎日新聞

国際

国際一覧>

注目の情報