トランプ氏「口止め」裁判で有罪判決 刑の執行は免除 職務を考慮

2025/01/11 00:25 

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 米国のトランプ次期大統領が2016年の大統領選を前に不倫相手への口止め料を不正に処理したとされる事件で、ニューヨーク州の裁判所は10日、陪審の有罪評決を維持した上で、トランプ氏に刑の執行免除を言い渡した。就任を20日に控えた大統領の職務への影響を考慮した。米メディアなどが伝えた。

 トランプ氏は量刑言い渡しにはオンラインで出廷した。裁判は米国の大統領経験者が初めて有罪判決を受けたケースで、トランプ氏は控訴する方針を明らかにしている。州法違反の事件のため、トランプ氏は大統領就任後も自身に恩赦を与えることはできない。

 この裁判でトランプ氏は、16年の大統領選で不利にならないよう、当時の顧問弁護士を通じて不倫相手の女性に口止め料を支払い、それを隠すために業務記録に虚偽の内容を記載したなどとして罪に問われた。陪審員は昨年5月、起訴された34件の罪状すべてについて全員一致で有罪とする評決を下した。

 トランプ氏は不倫関係そのものを否定し、一貫して無罪を主張。「不正な裁判」などと訴えて検察や州裁判所に対する批判を続けてきた。量刑の言い渡しは当初、昨年7月に予定されていたが、トランプ氏側が評決の無効や裁判の中止を繰り返し申し立てたため、延期されていた。裁判所は当時の行為に関する大統領の「免責特権」は認めないと判断している。

 州裁判所のマーチャン判事は、大統領選の勝利などを受けて陪審の判断を覆すことになれば「法の支配を計り知れないかたちで弱体化させる」と指摘した。

 トランプ氏は大統領就任前の量刑言い渡しを回避する試みとして、連邦最高裁と州最高裁にも差し止めを申し立てたが、いずれも9日に退けられた。連邦最高裁は、州裁判所が禁錮刑を科さないことが妥当との見方を示していたことなどを理由に、9人の判事のうち5人の多数意見で「判決が次期大統領の職責に与える負担は比較的軽い」と判断した。【ニューヨーク八田浩輔】

毎日新聞

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