韓国・大統領警護庁長が辞職 尹氏の逮捕妨げた疑いで警察に出頭

2025/01/10 18:46 

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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、大統領公邸で尹氏を守る大統領警護庁の朴鍾俊(パクジョンジュン)庁長が10日午前、警察に出頭した。警察は、3日の尹氏に対する逮捕状執行を妨げたとして、特殊公務執行妨害の容疑で3度にわたり出頭を要請していた。

 朴庁長は10日、秘書官を通じて大統領代行を務める崔相穆(チェサンモク)経済副首相兼企画財政相に辞表を提出し、受理された。出頭時に朴庁長は「流血の事態を避けるため、何度も崔大統領代行に電話して政府機関間の仲裁を提案したが、答えが得られなかった」と記者団に明かした。

 尹氏に対する逮捕状を取った高官犯罪捜査庁(高捜庁)と警察などで作る合同捜査本部は3日、尹氏の逮捕を試みたが、大統領警護庁の要員らに阻止されていた。その後、警護庁は公邸周辺に鉄条網を敷くなど警備態勢を強化している。

 警察は朴庁長のほかキム・ソンフン警護庁次長ら幹部に出頭を要請しており、警護庁の態勢を弱体化させたうえで、尹氏の逮捕に向けた環境を整える狙いだとみられる。今回の朴庁長の辞職が、公邸での警備態勢に一定の影響を与える可能性もある。

 一方、朴庁長は出頭時、記者団に「逮捕状執行ではなく、現職大統領の身分にふさわしい捜査手続きが行われるべきだ」と述べ、尹氏に対する逮捕状執行に反対する考えも改めて示した。

 尹氏に対する1回目の逮捕状は執行期限が切れたが、高捜庁は7日、裁判所から再び逮捕状を発付された。

 高捜庁と警察は態勢を強化して尹氏の逮捕に向けた協議を進めている。聯合ニュースによると、警察は10日午後、首都圏の広域捜査チームの責任者を集め、1000人規模の動員のための調整に入った。【ソウル日下部元美、福岡静哉】

毎日新聞

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