韓国、占師の元軍司令官を内乱罪で起訴 選管幹部の監禁計画に関与か

2025/01/10 23:46 

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 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領による「非常戒厳」の宣布を巡り、検察は10日、元軍情報司令官の占師、ノ・サンウォン氏を内乱罪などで起訴した。検察は、ノ氏が事件の「重要任務従事者」で、中央選挙管理委員会トップらの拘束・監禁計画に深く関与したとみている。

 尹氏は、野党が大勝した昨年4月の総選挙に「不正があった」などと主張。昨年12月3日に戒厳令が宣布された際、軍は中央選管を掌握するために兵士らを出動させていた。

 起訴状の内容によると、ノ氏は金龍顕(キムヨンヒョン)前国防相=内乱罪などで起訴=と共に、戒厳令宣布の際に選管を掌握し、委員長や職員ら約30人を拘束することを計画した。ノ氏は、軍の情報司令部などに所属する中佐ら約60人の実行部隊を編成。選管職員らを拘束するため、軍幹部に金属バット、覆面、結束バンドなどを準備させた。

 ノ氏は実行部隊に対し、12月4日午前5時に中央選管の庁舎に出動し、選管職員約30人を拘束したうえで、軍の首都防衛司令部の地下に監禁するよう指示した。しかし、3日夜の戒厳令宣布の後、4日午前1時ごろに国会が戒厳令の解除要求決議を可決。尹氏が戒厳令を解除したため、計画は実行には至らなかった。

 このほか、ノ氏は約10人の兵士らに対し、戒厳令の宣布前に中央選管の庁舎付近で待機するよう指示していた。兵士らは宣布の直後、選管の電算室に侵入し、選挙人名簿システムのサーバーを撮影した。

 ノ氏はこれらの計画の立案段階から深く関与していたとみられる。昨年11~12月の3度にわたり、拠点とする占い店の近くのハンバーガー店などで軍幹部と密談し、計画を練った。この際、ノ氏は「中央選管委員長は私が処理する」と述べていたという。

 また、ノ氏は昨年9月から戒厳令宣布まで計20回以上にわたり、金前国防相の公邸をひそかに訪問。11月30日から戒厳令が宣布された12月3日までは毎日訪れていた。公邸の出入りでは、金氏の秘書官の車両を利用していた。韓国メディアによると、ノ氏は陸軍士官学校で3年先輩に当たる金氏と親しかった。

 ノ氏は2018年に女性部下へのセクハラ問題で解職され、19年に執行猶予付きの有罪判決を受けた。その後は占師として活動してきた。【ソウル福岡静哉】

毎日新聞

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