米FRB議長にウォーシュ氏就任 インフレ抑制と「独立性」課題

2026/05/23 11:53 

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 米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)の第17代議長に元理事のケビン・ウォーシュ氏(56)が22日、就任した。議長の任期は4年。中東情勢の混乱に伴う原油高で、米経済はトランプ政権下で最大の物価上昇(インフレ)に見舞われている。トランプ大統領が大幅利下げを求める中、インフレ抑制とFRBの独立性確保が大きな課題となる。

 ウォーシュ氏はホワイトハウスで開かれた就任宣誓式で「物価の安定」と「雇用の最大化」というFRBに課された二つの使命に言及。「知恵と独立性、決意を持って使命を追求すれば、インフレ率は低下し、成長は加速する。世界における米国の地位は確固たるものになる」と強調した。

 さらに「過去の成功と過ちから学び、改革志向のFRBを率いる」と決意を述べ、パウエル前議長の運営との決別をにおわせた。利下げについては言及しなかった。

 宣誓式はFRB本部で実施されるのが通例で、ホワイトハウスでの開催は1987年のグリーンスパン氏以来約40年ぶり。トランプ氏は2006年のブッシュ氏(子)以来20年ぶりに大統領として立ち会った。政府とウォーシュ氏の距離の近さがうかがえる。

 トランプ氏はウォーシュ氏とともに会場に入ると「本心からの言葉だが、完全に独立した立場であってほしい。私や誰かを見ずに、素晴らしい仕事をしてほしい」と述べた。政治からの独立が懸念されているウォーシュ氏に配慮し、あえて独立性を尊重する発言をしたとみられる。「ウォーシュ氏以上にFRBを率いる準備が整っている人物は米国にいない」と持ち上げ、「私の政権から全面的な支援を受けることになる」と期待の大きさを示した。

 トランプ氏は足元で深刻化するインフレを抑えたい一方、低金利路線を維持したい意向もにじませた。「一部の前任者と異なり、好調な経済が良いことだと理解している」として、景気刺激効果のある利下げや低金利環境を暗に求めた。

 トランプ氏の思いとは裏腹に、市場では長引く原油高によってFRBの早期利下げの見方が消え去った。中央銀行はインフレ抑制の局面で利上げに踏み切るのが定石だ。利下げどころか、年内の利上げを見込む声が7割近くに広がっている。ウォーシュ氏は金融政策運営や情報発信で難しいかじ取りを迫られそうだ。

 ウォーシュ氏は米金融大手モルガン・スタンレーで勤務後、ブッシュ(子)政権に国家経済会議(NEC)事務局長などの立場で参加。史上最年少の35歳でFRB理事に抜てきされ、06~11年に務めた。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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