予測難しい「ひょう」 損保各社が注力、「30分前が限界」克服も

2026/05/15 17:04 

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 損保大手各社が自動車や家を傷つける「ひょう」の事前予想に力を入れている。ひょうは春から夏にかけて多発し、気象庁は14日にも関東甲信など一部地域に降ひょうの注意情報を出した。地表到達までに水になる場合も多く予測は困難を極め、損保業界では30分前の情報提供が限界だったが、ここに来て2日近く前に予想する会社が登場した。ひょう被害に伴う保険金支払額は大型台風に匹敵するケースもあるだけに、各社とも技術開発にしのぎを削っている。

 ◇「車で出かける前日にアプリ見て」

 これまで損保大手4社が提供していた30分前の情報は、東芝などが作るレーダーを使って、現在の空気中の水分量などを実際に測り、30分後にひょうが降る可能性を予想していた。

 これに対し、東京海上ホールディングスと防災科学技術研究所でつくる合弁会社「I―レジリエンス」は、最大で39時間前の予想に成功した。空気中の水分量を実測せず、気象庁の公開情報からひょう災が起きる可能性を算出する独自モデルを開発。39時間前というのは、気象庁の予報情報を取得できる時間の最大値だという。

 同社は8月から新モデルを導入したアプリを使い、顧客に情報を通知する。東京海上広報は「これまでは30分前の事前予測が限界だった。前日にアプリを見て、車で出かけるか判断してほしい」とアピールする。

 ◇アラート流すサービスも

 一方、他3社もサービス改善に努めている。いずれも降ひょう30分前の情報提供だが、あいおいニッセイ同和損害保険は2024年から防災アプリ「cmap」を通じて無料で提供。さらにカーナビ機能で行き先の降ひょうの可能性が高まっていることを通知するサービスを展開する。三井住友海上火災保険もドライブレコーダーでアラートを流すサービスを提供する。損害保険ジャパンは通知サービスの実証実験を4月に始めた。

 損保会社の保険料収入に対して支払う保険金が増えれば、それだけ自動車保険などを契約する利用者が支払う保険料が上がる場合がある。損保会社と保険加入者の双方の不利益になるため、各社とも毎年のように新サービスを提供しようと工夫を重ねる。

 24年4月に発生した兵庫県を中心とするひょう被害では、損保各社の保険金支払額のうち6割超の835億円が自動車だった。

 ひょうは地表と上空の寒暖差が大きい場合などに発生する。積乱雲の中で氷の粒が急速に成長してひょうになるが、地表に到達するまでに水になる場合も多く、予測が難しいことで知られる。【横見知佳】

毎日新聞

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